第1期対談第20回 顧客とつながる3つの「tion」

2016.09.1

業界展望

admin

広告宣伝の手段として、SNSを含めたインターネットは欠かせないツール。だが、さまざまなサイトの手段と目的をきちんと把握できているだろうか。顧客とつながるために、3つの「tion」があると美容経済新聞論説委員 野嶋朗氏は言う。美容経済新聞編集長 花上哲太郎が美容業界のインターネット活用についてインタビューを行った。

インターネットの4つの手段
どれだけ説明できるか?

野嶋 今回は美容業界とインターネットを使った広告宣伝について考えてみましょう。ポータルサイト、SNS、ホームページ、オウンドメディア……この区別はつきますでしょうか。

花上 知っているつもりですが、言葉にして説明するのは難しいですね。

野嶋 それでは一つひとつ見てみましょう。「ポータルサイト」とは、いわゆる“入口”。お客を集めて行き先(お店)を決めるのが役割で、よく知られているものには、『ホットペッパービューティー』『楽天ビューティ』などがあります。

花上 ポータルサイトを利用しているサロンも多いでしょう。これはイメージしやすいですね。

野嶋 SNSはあまり説明を必要としないでしょう。ユーザー同士のつながりを支援するコミュニティ型サイト、ネットワークサービスですね。ユーザーの年代をみると、『Facebook』は40歳〜50歳代、『Twitter』は10歳〜20歳代、『Instagram』は20歳代の女性です。サロンで顧客が過ごす時間の他に、サロンが顧客とつながるための手段の一つ。「いいね」の数で、リアルタイムで自分たちの評価が把握できます。

花上 ホームページはわかるのですが、オウンドメディアがイメージしづらいですね。

野嶋 オウンド(Owend)メディアとは、自分たちで所有しており、なおかつ顧客目線のメディアのことを指します。例えば、『Beauty & Co.(ビューティー・アンド・コー)』や『ワタシプラス』。これは資生堂が運営しているのですが、広告宣伝の色は薄く、女性のための情報サイト、美のノウハウの配信という役割を果たしています。企業の紹介というよりも、自社の商品やサービスをもっと好きになってもらうきっかけを作る仕掛けですね。

花上 なるほど、最近よく見かけます。

野嶋 「3つのtion」と覚えてください。ホームページはインフォメーション(information)、ポータルサイトはプロモーション(promotion)、SNSはコミュニケーション(promotion )。

花上 わかりやすいですね。

野嶋 テーマを設定し、オウンドメディアの情報をSNSに配信していくという流れもありますね。ユーザーがオウンドメディアを介して、企業のホームページにたどり着くようにしているのです。ポータルサイトやオウンドメディアからホームページにどう誘導するか。次の段階として、ホームページをポータルサイトとしていかに活用していくかを、美容業界の大手企業はチャレンジしようとしています。

花上 例えば、どのような取り組みがありますか?

野嶋 福岡で美容室3店舗を展開する『FLEAR』では、ホームページがまるで九州のホリスティックビューティーのポータルサイトのようになっています。情報の質が高く、“ここならいろいろわかるかも”とユーザーに思わせることに成功しているのです。

“ここなら情報がある”と
ユーザーに期待感を持ってもらう

花上 美容業界では、どのように活用していけばよいでしょうか。

野嶋 ヘアサロンでは、スタイリスト個人がInstagramのアカウントを持ち、自分の得意とするスタイルを発信しています。一方で、エステティック業界は少しクローズな印象がありますね。他の業種ともっとつながった方がいいのではと感じています。

花上 Instagramはユーザー層が合わないのと、「シェア」の機能がないのでエステティックには向かないかもしれません。『エステティックグランプリ』では、Facebookを有効に活用していると思います。美容業界のSNS活用度は今度調査してみたいですね。

野嶋  飲食業界もSNSを有効に活用できているところとそうでないところが分かれています。美容業界も遅れたくないですね。

花上 エステティックサロンはヘアサロンよりも掲載できる写真が少ないなど課題もあるでしょうが、“ここに行けば何かいい情報がある”という期待感をユーザーに持ってもらうのは大事ですね。今回はありがとうございました。

 

▼この企画について
美容経済新聞では、サロン経営に携わる方に役立つ情報を常にお届けしています。2016年は、論説委員である野嶋朗氏を迎え、今後の市場の変化にいかに対応していくべきか、ヒントを探って参ります。

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