健康食品等の機能性表示で消費者庁が初の検討会

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2013.12.24

編集部

消費者庁(阿南久長官)は、健康食品等の加工食品および農産物に関して、企業等の責任で科学的根拠を基に機能性を表示できる新たな方策を検討する初会合を12月20日、開催した。

検討会は松澤佑次座長(大阪大学名誉教授・住友病院長)以下有識者14人で構成され、来年夏までに結論を出す方針である。規制改革実施計画と日本再興戦略の閣議決定を受けて開かれたもので、特定保健用食品制度(トクホ)と栄養機能食品制度を維持しながら、企業が健康食品等にどのような機能性を表示できるのかがテーマである。

現行の保健機能食品の機能性表示制度では、機能性表示が可能なものは国の規格基準に適合した栄養機能食品(12ビタミン5ミネラル=平成13年制定)と国が個別に許可した特定保健用食品(1091件=平成3年制定)に限られ、それ以外は機能性の表示は不可となっている。そこで国の規制改革会議は、世界に先駆けて「健康長寿社会」を実現するために、この二つの健康食品以外の加工食品や農産物の一般食品にも広げ、企業の責任で科学的根拠を基に機能性を表示できる方策を検討することになった。

特定保健用食品に表示できる保健の用途の例としては、美容にも関係がある「おなかの調子を整え便通改善」や「歯を丈夫にする」「骨粗しょう症になるリスクの低減」などの表示を、科学的根拠が明白かどうかを審査して表示を許可している。

新たな機能性表示に当たっては、米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしている。米国の健康強調表示の種類は二つ。疾病リスク低減表示と構造・機能表示である。疾病は国(FDA=食品医薬局)が許認可し、専門家の十分な科学的合意に基づいて「疾病リスク低減」を表示できる食品と、科学的根拠の低いものは3段階に分けて条件付き表示を許可している。構造・機能表では、事業者の自己責任でダイエタリーサプリメントとしてFDAに届け出ればよい。ただし、FDA上部団体の保健福祉省監察総監室が体重減少と免疫機能に関する製品を調査した結果、事業者から提出されたヒト研究557例では実証に重要な4項目(1)表示の意味(2)表示とエビデンスとの関連性(3)エビデンスの質(4)エビデンスの総合性━という条件を満たしていたものは一つもなかった。有効性の実証に考慮されるべき点が十分に考慮されていなかった可能性がある、と指摘された。

消費者庁_阿南久長官新制度の基本は、安全性の確保が第一で機能性表示を行うには科学的根拠を設定し、消費者への誤解を招かない合理的な商品選択ができるようにする。特に誤認率が高い高齢者、病者、妊婦、乳幼児の保護者、未成年者を対象にグループヒアリングをして表示方法を設定したいとしている。

阿南長官は「和食が世界遺産になったように、食は重要で健康志向に良いものを摂取したいと言うのが日本人である。荒唐無稽な広告がはびこっているので機能性表示は必要である。その枠組みをしっかりつくってほしい」と語った。

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