どうなる抗疲労トクホの認可(上) 

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2014.01.8

編集部

疲労や疲労感を軽くする“抗疲労トクホ〟と呼ばれる新しい概念の特定保健用食品が意気消沈の状態にある。産学官連携プロジェクト「疲労定量化及び抗疲労医薬・食品開発プロジェクト」(疲労プロジェクト、2003年から2006年の3年間、総事業費15億円)で抗疲労トクホ、抗疲労製品がはじめて表舞台に登場し、大阪大発ベンチャーが厚労省に抗疲労効果の表示許可申請を行なうなど新たなビジネスの勃興に期待が高まった。しかし、申請から3年を経過していまだに認可されていない。消費者庁のトクホ表示許可が累計1,091品目(2013年12月現在)にのぼる中で”抗疲労トクホ〟認可が依然として見えないままだ。

国民が疲労や疲労感を認識する契機に国民が疲労や疲労感を認識する契機になったのは、1999年に厚労省の研究班が行った疫学調査。約4,000名を対象に行なった同調査では「国民の3分の1が慢性疲労を自覚し、その内の半数近くが日常、社会生活に支障をきたしている」と指摘。その上で「疲労による経済損失は、1兆2,000億円にのぼる。疲労は、21世紀の社会が克服すべき主たる課題の一つになっている」と結論付けたことで、国民の疲労についての認識と関心が高まった。

こうした疲労についての動機付けを踏まえて文科省は、産学官連携プロジェクト「疲労定量化及び抗疲労医薬・食品開発プロジェクト」(2003年から2006年までの3ヵ年、総事業費15億円)を立ち上げた。

同プロジェクトに参加したのは、大塚製薬、カネカなど製薬・化学企業9社とアサヒビール、伊藤園など食品企業7社、総合商社2社の計18社と官分野から「健康予防医療産業振興プロジェクト」を推進する大阪市、学分野から大阪大、大阪市立大など5校の総勢23法人(表)。同プロジェクトの目的は「疲労のバイオマーカー(生体指標)を見つけて疲労の特徴や強さを数値化・定量化し合わせて疲労効果のある抗疲労医薬、特定保健用食品を開発すること」にあった。

どうなる抗疲労トクホの認可(上)表

中でも同プロジェクトを先導し、コーディネートの役割を担ったのは、大阪大発ベンチャーの総合医科学研究所(現総医研ホールディングス子会社)。同社が先導的な役割を果たした背景には、疲労定量化のためのバイオマーカーの開発と評価システムを確立して世界のグローバルスタンダードとして標準化を図り、科学的評価に基づく評価基準で商品化した抗疲労特保・医薬品を市場に投入すること。同時に、既存市場で数多く販売されているドリンク剤を科学的評価に基づく抗疲労商品に置き換えるのが狙い。

同プロジェクトでは、第1期(2003年10月-05年9月)で疲労のバイオマーカーを開発し、疲労の定量評価法を確立。第2期(05年10月-06年9月)は、人を対象にして臨床試験を行い、疲労抑制や疲労回復効果を検証。2007年には、抗疲労トクホを市場に投入するなどの工程表を策定し、開発に向けて取り組みを始めた。

このプロジェクト立ち上げによって疲労、疲労感を軽減する新しい概念の抗疲労食品(抗疲労トクホ)がはじめて表舞台に登場し、抗疲労トクホ認可による事業化への期待が一挙に高まった。

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