人間はもともとエネルギー消費が少なく、代謝が悪い生き物

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2014.01.16

編集部

米国のリンカーン・パーク動物園と国際的な科学者チームが、人間を含む霊長類における研究成果を1月14日付けのプレスリリースで発表した。

今回の研究では17種類の霊長類に対して10日間のエネルギー消費量の計測を実施し、ほかの哺乳類と比較した。研究によると、チンパンジーやゴリラなどの霊長類は、同じ体格の他の動物よりも、カロリー消費量が50%も少ないという。これは、人間における代謝の遅さと長寿につながるものとして注目されている。

犬、猫、ハムスターなどのペットも含め、多くの哺乳類は生まれて数カ月で大人になり、1年も経てば次の世代を産むことができる。このような一生のサイクルに比べ、人間を含めた霊長類の一生のサイクルはゆっくりで、長い子供時代を送り、非常に長生きである。なぜ霊長類の一生は「ゆっくり」なのかは、長い間、生物学者たちを困らせてきた難問だった。

今回新しく判明した、霊長類のエネルギー消費が少ないという事実は、代謝もゆっくりであることを示唆し、これがエネルギーを必要とする成長、生殖、高齢化にも「ゆっくり」した速度という影響を与えているのではないか。霊長類はゆっくりと一生を送ることができる。また、そのように進化してきた、と研究者らは述べている。

また、動物園にいる霊長類は野生のものと比べても同様のエネルギー消費があるとされている。ここから、からだを使った運動は、一般に考えられているよりもエネルギー消費への影響が少ないと考えられた。運動のカロリー消費は考えているよりも少なく、直接的にダイエットにはつながらないことはよく知られている。今回の研究は、代謝を上げることと寿命の関係、肥満対策などにも影響を与えそうだ。

この研究の詳細は、1月13日の「Proceedings of the National Academy of Sciences」(米国科学アカデミー紀要)にも掲載されている。

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