日本製粉ら、低純度植物セラミドを高純度化する連続生産技術開発

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2014.07.10

編集部

日本製粉株式会社は7月9日、農研機構、オルガノ株式会社と共同で、米ぬかから95%以上の高純度セラミドを工業的に連続生産する技術を世界で初めて開発した、と発表した。

現在主流となっている植物セラミドには夾(きょう)雑物が多く含まれ、それが色や臭いの原因となり、製品開発を制限していた。夾雑物の中でも、植物セラミドに必ず含まれるというステロール配糖体は、セラミドと物理的性質が似ているため、セラミドと分離が困難で、セラミドを高純度化する上で技術的な問題となっていた。さらに、高純度化するにはコストがかかり、産業活用が可能な大量かつ低コストの高純度セラミドの製造法が望まれていた。

こうした課題を背景に、同社らは、植物セラミドからステロール配糖体を良好に取り除き、純粋なセラミドだけを工業的に分離する技術開発を行った。

通常の低純度セラミドからステロール配糖体を分離するには、分離材との吸着力の差を利用するクロマト分離技術と呼ばれる手法で可能だが、 通常のクロマト分離は一回一回分離と回収を行うため不連続で、非効率、非経済的であり工業的に活用するのが困難。そこで、同社ら開発チームは、分離する原液を流し込みながら、分離と回収を連続的にできる”擬似移動層クロマトグラフィー技術”と呼ばれる技術を適用し、24時間 365日の連続分離を可能にした。

分離材、分離溶媒(発酵エタノール/水の比率)、セラミドと夾雑物との分離のタイミングなど種々の条件を検討した結果、食品(飲料など)への添加が可能なセラミド製造も視野に入れて、米ぬか由来のセラミド分離原液(10%)を使用し、95%以上の高純度セラミドを連続的に製造することに成功した。

通常のセラミドは複数のセラミド種の混合体だが、同技術を応用すると、セラミドの取り出し口からはセラミドの種類ごとに順番に出てくるので、複数種含まれるセラミドの一つ一つが分離できる。また、今回の生産技術は、米ぬか同様に、セラミドとステロール配糖体の分離が困難な他の植物由来セラミドにも適用できる。

同社は、「セラミドのメカニズムの研究はまだ十分とはいえない。同技術により、取り出した素材別セラミドの一斉評価や、複数種の混合体であるセラミドに含まれる一つ一つのセラミド種の評価を行うことが可能となり、セラミド素材による差別化や、より効能の高いセラミド製品開発も可能となる」と話している。

セラミドは皮膚に含まれる保湿成分で、皮膚へ塗布、経口摂取により保湿などの効果が期待されることから、様々な化粧品や機能性食品の原料として利用されているが、合成セラミドなどが多く使用されているのが現状。今回の生産技術開発で、植物セラ ミドの活用が難しかった化粧品をはじめ、アトピー性皮膚炎、重度の乾燥肌に対するセラミドの効果を勘案すると医薬品への展開も期待できるため、今後のさらなる研究が注目される。

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