手洗い石鹸でも体内に入る”トリクロサン”

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2014.08.21

国際部

米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは8月19日、ホルモンかく乱物質とされるトリクロサン入りの手洗い石鹸が人体に影響するとした調査結果を公表した。詳細は「Journal of Occupational and Environmental Medicine」8月号に掲載されている。

今回に調査では、抗菌石鹸(トリクロサン0.3%含有)を使用している病院と、使用していない病院の比較を実施した。抗菌石鹸を使用している病院スタッフの尿からは、使用していない病院スタッフよりはるかに高いレベルのトリクロサンが検出された。中でも、トリクロサン入りの歯磨き(市販品)を使用している人からは特に高い濃度で検出されていた。

研究者らは、トリクロサンが知らない間に体内に吸収されていることを懸念、注意を促している。また、手の殺菌には「普通のせっけんと水」で十分な効果が得られるともしている。

昨年(2013年)、米食品医薬品局(FDA)は抗菌石鹸の効果について、普通の石鹸より勝ることを実証するよう各メーカーに求めていく考えを表明している。抗菌石鹸(ボディーソープ含む)に関しては、その効果と安全性にかねてから懸念があり、それを受けた形での公表だった。FDAの発表では具体的な成分名は挙げられていなかったが、トリクロサンが含まれていることは間違いないもよう。今年5月には、米ミネソタ州でトリクロサンを含む製品の販売禁止法が成立している。

日本ではトリクロサンの規制は始まっていないが、ノロウイルス感染防止のための手洗い実験で、「トリクロサン含有の抗菌性石鹸は最も低い効果を示し、石鹸を用いない手洗いと同様の結果であった。」という結果が公表されている(平成20年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書/国立医薬品食品衛生研究所)。

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