旬な人~マイ・ポリシー 「楽・心・身マッサージメソッド」の開発者・袴田浩呂琴さん

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2014.07.4

編集部

エステティシャンの一番の喜びは、お客様の喜ぶ顔

袴田浩呂琴さん見習いからはじめたエステティック業界で30年、持ち前のユーモアと向上心、イマジネーションを総動員して、顧客から信頼され、喜ばれるサービスを提供し続けてきた袴田浩呂琴(はかまだひろこ)さん。「お客様たち自らが”袴田組”と称して応援してくれる」という顧客との関係性は、エステティック業界のみならず、すべてのサービス業に携わる人たちが目標とするところだろう。

 会話はNG”という慣習を打ち破って示した存在感

袴田さんがエステティックの世界に飛び込んだのは21歳の時。メイク学校卒業後、スチールメイクのアシスタントとして勤めていた会社が倒産し、美容室を運営する会社が初めて開店したエステティックサロンのオープニングスタッフとして就職した。「エステティック」という言葉ではなく「全身美容」と呼ばれ、社会的にも認知されていない時代だった。「メイクの仕事に就いた理由は、周りで誰もやっていない仕事に就きたかったから」という袴田さんにとってはしかし、不安よりも期待の方が大きかったに違いない。

現在は客とのコミュニケーションもエステティシャンの重要な技量とみなされているが、袴田さんが業界に入った頃は、客との会話はNGだった。2年目から「脱毛」を任されたが、「当時の脱毛は1本1本抜いていく単調な作業。ある日、自分の眠気防止のためにお客様に話しかけ、笑わせていた」。作業は進まなかったが、客は「楽しかったから」と、費やした2時間分の費用に相当するチケットを払ってくれた。これをきっかけに、その後も会話をしながら客と仲良くなっていった。「あなたが技術をできるようになったら予約を入れる」と言われ、「お客様が待っていてくれる」と思って努力を惜しまなかった。

お客様の喜び”を第一に、経営悪化で閉店寸前のサロンを立て直し

就職して3年、店長の退職やサロン経営の悪化などで「このままだと半年後に閉店」という大変な時期に、24歳の袴田さんが店長に就任した。社長から「いい店を作ってよ」と言われたものの何をどうしてよいのかさえわからない。全身美容組合(全国美容協会)の理事長に自ら電話してアドバイスを請うと、「お客様を喜ばせる、スタッフも喜ばせることが大事。自分の店だと思ってやりなさい」と言われた。

袴田浩呂琴さん_手製のカリキュラムその一言で袴田さんの意識が変わった。自分の店ならどうするかを考え、まず取り組んだのは、「楽しい時間、うれしい時間」の演出。来客時の型通りのあいさつ「いらっしゃいませ」の使用を禁止し、「こんにちは」「おかえりなさい」など、「お待ちしていました」という気持ちを前面に出した言葉で迎えるように変えた。もともと美容室主体の会社で、エステティックサロンのマニュアルもなかったので、マニュアルやカリキュラムを自作した(写真)。

店長就任前のサロンの損益分岐点180万円は70万円にまで落ち込んでいたが、店長就任後1ヶ月で382万円。その半年後には863万円。さらに一年後には1,620万円と盛り返した。だんだんと経理にも精通していったが、常に自分なりの分析を行い、客に喜んでもらえる工夫を心がけた。

顧客主導”で独立開業~クチコミで顧客増加

「仕事が楽しくてたまらない」20代を経て、35歳のときには店長2人を育てあげた。気がつけば13年。そろそろ仕事をやめて「専業主婦に」ともくろんでいたが、14人の顧客が「袴田さんにエステティシャンをやめさせない会」を結成。その1人から「うちがつくったマンションが建つから、その一室を借りろ」と迫られ、退職から3ヶ月後に自分の店「ソワン エステ オランジュ」をオープンした。1997年、顧客14人からのスタートだった。

電話帳にも載せず、1LDKにベッド1つで営業していたにもかかわらず、独立して2年目には、14人が250人に。「経営が大変だろう」と顧客がクチコミでPRしてくれたのだ。さすがに狭くなり、2000年に新店舗をオープンしたが、このときも顧客らが不動産屋、内装業者らを手配してくれた。オープン5年目、顧客数は800人に。その98%はクチコミがきっかけだった。

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「お客様が応援してくれるからここまで来れた」という感謝の気持ちを伝えるために、独立した年から15年間、毎年グランドハイアット東京に顧客を招待してパーティを開催してきた。そのパーティでも、招待客が積極的に受付を手伝ってくれたり、記念のアルバム(写真)を編集してくれるなど、”袴田組”と称して一緒に盛り上げてくれる。

2010年、袴田さんはスタッフを独立させて、西新宿に新サロンをオープンした。「人を雇うと自分は経営者になる。今後は、一エステティシャンとしてやっていきたい。私の財産はお客様。自分がへこたれずに続けることがこれまで支えてくれたお客様への恩返し」と袴田さん。財産はお客様、一エステティシャンとして恩返し

エステティシャンとして自分の店に立つ以外は、2008年に設立したエステティシャン養成校 アカデミックエコール・ド・HIROで講師として指導している。「エステティシャンの一番の喜びは、お客様の喜ぶ顔。自分が施術できるお客様の数は決まっている。自分が(生徒に)伝えたことを、その人からまた他の人に伝えて、何十年先でも喜びが伝わっていくようにしたい。個人の力でも生きていける技術を持ったエステティシャンを増やしていきたい」と語る。

「楽・心・身(らくちん)マッサージメソッド」の開発のきっかけは、数年前に自身が煩った脳梗塞。貧血や、肩こりや筋肉のこりなどにより血流の流れが悪くなったことが原因で脳梗塞になったことから、これまで延べ16万人に施術した経験を基に開発した。メソッドの効果を検証するために、顔見知りの医者のところに顧客に頼んで診察に行ってもらい、血液データをとったところ、「薬の検証よりも結果が出ている」と驚かれ、日本抗加齢医学会での発表につながった。

「自分の技術が役に立つことがうれしい。認めていただいたことは、女性の地位向上、エステの技術向上にもつながっていると思うし、エステ業界にも貢献につながるといいと思う」。

趣味は運転。愛車のBMWで八王子から新宿のサロンに通う。もう1つの楽しみは”ホテル”。自分への”ご褒美”に気になるホテルやお気に入りのホテルでリラックスする。

1962年5月24日生まれ。夫と二人暮らし。八王子在住。

参考リンク
アカデミックエコール・ド・HIRO

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