免税解禁で訪日外国人“爆買〟高級ブランド化粧品にも関心

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2014.11.17

編集部

タイや中国の観光客などを中心とした“爆買〟が国内小売店で起きている。観光立国推進の一環として政府が2014年10月から外国人観光客を対象に化粧品、医薬品など全ての消耗品を免税対象(タックスフリー)としたことが“爆買〟に拍車をかけているもの。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、日本空港ビルデング、NAAリテイリング(成田国際空港100%子会社)と合弁で「Japan Duty Free Fa-So-La三越伊勢丹」(仮称)を近く設立し、来年秋にも首都圏初の航空型免税店「ジャパン・デューティ・フリー・ギンザ」を爆買い状態にある三越銀座店の8階にオープンする。航空型免税店開設による訪日外国人の来客をさらに取り込む狙い。

イセタンミラー同社は、2012年3月に高級ブランド化粧品に特化した新業態のセレクトショップ「イセタンミラー」(写真)の1号店をルミネ新宿2階にオープン。現在、イセタンミラーの全店舗は、首都圏中心に9店舗にのぼる。全店舗が免税方式を導入し、サービスカウンターを設けて外国人サービスに当たっている。

同社では「イセタンミラー9店舗の売上に占める免税化粧品の売上比率は0.5%となっている。ここへきて中国人観光客を中心に来店する機会が目立って増えており高級化粧品への関心が高い」とみている。

今年9月に化粧品分野へ本格参入したイオンは、成田空港に近い成田店に訪日の手土産を買う観光客が訪れ、化粧品を含む日用品を買い漁っている。また、中国資本に買収され買い物ルートにもなっているラオックスは、白物家電、美容家電などを爆買いする中国人観光客でごった返しの状態。

観光庁によると今年4月-10月の半年で「国内の新規免税店は、約600店増えた。今後空港の免税店で買わなくて済む利便性の高い首都型の免税店開設に拍車がかかる見通し」と、鼻息が荒い。経産省では、個人を含む免税店の許可取得(税務署の許可必要)や免税品のパッケージなどについて出先の経産局に相談室を設けて対応に当たっている。また、外国人の国内消費は、円安効果も影響して今年1月-9月累計で1兆4千億円にのぼる。これに10月から免税品が全面拡大されたことで、今年度の外国人消費額は、2兆円の大台に乗る見込み。また、小売業から化粧品分野に新規参入した各社は、外国人観光客の購買を引き付ける免税店開設に走り出す思惑がちらつく。

消費税の反動で国内消費が低迷する中、今後、小売業を舞台に化粧品を含む日用品の需要は、外国人観光客頼みの展開を一段と色濃くしそうで、化粧品セレクトショップなど小売業態の免税店の許可取得がさらに増えるのは必至。

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