【連載】化粧品各社業績V字回復見えず(上)

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2015.04.20

編集部

資生堂、ポーラオルビス、コ-セー、ファンケルなど大手化粧品4社の2015年3月期連結業績見通し(表)は、下方修正した資生堂を除いて期初見込みの業績をほぼ達成する見込み。しかし、国内は成熟市場に達する一方、海外での競争激化に直面するなど内憂外患の状態で、尻あがりの回復基調は望めそうもない。

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資生堂の2015年3月期業績は、売上高が期初予想の7,800億円から7,700億円へ下方修正、営業利益も期初予想の420億円から250億円へ大幅修正、最終利益も当初の380億円から300億円に引き下げた。

同社が今3月期の業績を下方修正した要因は中国経済の成長鈍化で、中国市場での販売不振に直面して過剰在庫を抱え、130億円にのぼる在庫積増金が発生したことが主因。この結果、営業利益が前期比49.6%減に半減するなど業績に直接響いた。

同社は、今年6月の株主総会で決算期をこれまでの3月期から12月期に変更することを正式決定する。
決算期を変更するのは、海外での売上比率が国内売上を逆転する中で、海外グループ企業を含めて国際会計基準に準拠することで、業績の効率化を図る狙い。従来の3月決算では、海外グループ企業の1~3月分の業績が反映されないなどの問題があった。決算期変更により2015年12月期は、今年4月から12月までの9ヵ月決算となる。

コーセーの2015年3月期の業績は、免税化による海外観光客の売上増、米タルト社の業績向上などを要因に業績が向上し、2015年1月に上方修正した。売上高は、期初予想の1,930億円から2,010億円に増額、営業利益を期初予想の190億円から197億円、最終利益を102億円から110億円に各増額修正した。

ポーラオルビスの2015年12月期の業績見通しは、連結売上高2,075億円(前年同期比4.7%増)、連結営業利益200億円(前年同期比13.1%増)、連結当期純利益10億円(前年同期比1.1%増)を見込む。

ファンケルの2015年3月期業績は、台湾、シンガポールでの小売事業からの撤退などから海外売上高は減少。一方、国内は、卸販売、メイク製品の全面刷新で伸長し増収を見込む。

ただし各社とも国内市場は、消費税や市場の成熟で低級品中心の消費構造にあることや海外での過当競争が激しいなど内憂外患に直面、V字回復の活力に欠ける。

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