化粧品の特許係争、花王、資生堂が特許出願件数などを美容経済新聞に開示

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2015.08.21

編集部

化粧品分野の特許や実用新案、商標権などの知的所有権に関わる係争問題が相次いで起きている。2010年以降、現在まで化粧品、美容関連機材を含めて訴訟に発展した件数は約30件にのぼる。こうした中、資生堂と花王は特許出願件数と特許保有件数を明らかにし、知的所有権の確立に力を入れて取り組んでいることをうかがわせた。

訴訟問題で大きな比重を占めているのが機能性、作用機序などの独自成分と成分の効能効果の向上に関わる製剤設計に関する係争内容が中心。

2010年以降、現在まで東京地裁、大阪地裁などに訴訟を起こした件数は化粧品、美容機器を中心に約30件にのぼる。訴訟内容は、いずれも特許に抵触するとして製造販売の中止と損害賠償の仮処分決定を求めるケースが多い。

この中で、主たる裁判のケースとして2012年2月に花王は染毛剤の特許権侵害についてホーユーを提訴。また、同年5月にファンケルは、メーク落としの特許権侵害でDHCを提訴。2014年9月に富士フイルムがDHCにスキンケア化粧品の一部の製造販売を差し止める仮処分を申請するなどの動きが見られた。いずれも損害賠償を求めた被害者側の勝訴となったが、敗訴した企業の知的所有権に関わる認識の薄さ、知的財産権の価値観のなさが指摘されるなどの問題点が浮き彫りになった。表に主な訴訟ケースを示す。

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特許などの知的財産権を事業活動を支える重要な基盤の一つと捉える花王は、2014年度の特許出願件数はグループ全体で約1,000件、特許保有件数が2014年12月で1万6,300件にのぼることを明らかにした。いずれも化粧品やヒューマンヘルスケア、ファブリーズなどの商品を包含した件数。

同社の知的財産権の確立は、技術特許や実用新案などを扱う知的財産センター、商標・著作権などを担当する商標部などの専門部署を設置し、知的財産権の保護に注力。商標部ではアジアの模倣品問題にも対応。また、研究開発やマーケティングなどの部門では、知的財産センターや商標部と緊密な連携を取り合いながらプロジェクトの初期段階から新製品に関する公知技術や知的財産権の調査を行い、自社の権利の取得を図るとともに他社の権利の侵害防止にも努めている。

一方、資生堂は、2015年6月現在、国内の特許出願件数1,565件、海外1,692件にのぼることを明らかにした。グローバル化の進展で海外での事業が主力になっていることから特許出願も海外が多く、国際化が進展していることを伺わせる。

同社では、グループ企業理念「Our Mission, Values and Way」のなかで、国・組織・ブランドを問わず、グループすべてのブランド価値を高めることを宣言。ブランド価値を高める知的財産を侵害されないよう管理するとともに、他社の知的財産を尊重することに尽力している。

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