漢方で日本を6次産業化へ、出口戦略が重要

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2015.08.28

編集部

IMG_6172一般社団法人漢方産業化推進研究会(東京都千代田区)主催の第1回漢方セミナー2015が19日、都内で開催され、神奈川、富山、奈良の3県の漢方関連の取り組みが紹介された。

冒頭、代表理事の渡辺賢治氏(写真右)が、同研究会の設立経緯から活動内容を紹介。「漢方で日本を6次産業化することを目指す」とし、そのためには徹底した出口戦略が重要だと強調した。

具体的には、各地方の耕作放棄地を活用して栽培した薬草・薬木を、医療用に活用するほか、健康食品や化粧品などへの展開を例として示した。また、日本産の薬草・薬木の海外輸出なども視野に入れている。こうした出口を広げていくために、様々な産業分野から入会している同研究会の会員同士の「化学反応」(渡辺氏)に期待を示した。

神奈川県では、健康と病気の間を連続的に変化する過程を「未病」と定義。その見える化を図ることでライフスタイルの見直しを促し、日常の行動変容につなげて未来の自分の身体を考えるという取り組みを紹介した。

その「未病」の啓蒙活動の一環として、世界に発信する『ME-BYO』というブランドをつくり、これに取り組む企業を認定する制度を設置。同認定を受けている味の素株式会社の『アミノインデックス』やPST株式会社の『MIMOSYS (ミモシス)』の事例を紹介した。

IMG_6177富山県では、薬用植物の実用化に向けた取り組みとして、県内に薬用作物の生産・流通・関連商品の開発、医療への活用などに関する方針を検討する研究会を設置。2015年度から新たに「医薬品」、「健康食品」、「生産」の各テーマ別に幹事会を設置して議論を深めていく考えを示した。

また、同県で栽培が多いシャクヤクの収益を向上すべく、シャクヤク省力多収技術の確立に向けたプロジェクトを実施中。シャクヤク掘取機を改良して新たな栽培体系の確立に取り組むほか、同県産シャクヤクとして県内外の医薬品企業などへの販路拡大を目指している。

奈良県では、同県にゆかりの深い漢方について、生産拡大から関連商品・サービスの創出などに向けて総合的な検討を行う「漢方のメッカ推進プロジェクト」を進行中。同プロジェクト対象作物として、ヤマトトウキ、シャクヤク、アカヤジオウを挙げている。中でもヤマトトウキを最重点作物と位置づけ、優良品種の育成、栽培省力化技術の開発などを行っている。

また、薬草栽培の川上と、漢方派生品などの製造メーカーである川下のマッチング事業を推進するため、「漢方のメッカ推進協議会」を設立。トウキを使った研究成果を発表するなどの活動を行っている。トウキのほか、9月からキハダ(薬木)についても活用検討会を開催する予定で、今後、川上の栽培と川下の活用の循環などについて検討を進めて行く考えだ。

参考リンク
一般社団法人漢方産業化推進研究会

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