連載(中)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~銀行団債務超過など調査、ジンが銀行団に再建計画提出へ~

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2015.09.3

編集部

株式会社ジンコーポレーション(東京都渋谷区)の私的整理について、銀行団は懐疑的だ。同社の簿外債務や資金繰り状況など財務の実態を掌握しなければ「私的整理による再建が可能とはいえない」との声が聞こえる。

銀行団は現在、同社の資金繰り調査を行っている。具体的には、簿外債務の実態、月間7億円にのぼると見られる前受金の返済状況、返金原資の状況、前受金の使途、取引先への未払金などを把握し、同社の私的整理での再建が可能か、を判断する考えだ。
この中で、会員からの前受金は広告・宣伝費や運転資金などに用いられており全額保全されていない状態。

同社の業績(下表)は、2014年8月期で386億円にのぼるが、クーリングオフや途中解約で売上の約6割が簿外債務とみられ、実質的な売上は約200億円程度にすぎない見込み。

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現在、一括売上計上で累積簿外債務は数百億円に達すると見られており、実質的な売り上げを超えて債務超過の状況に陥っている公算が強い。また、前受金の返金は、債務で会計上、簿外債務に当たる。銀行団の同社査察はこの債務超過に大きな関心を寄せる。

同社は、銀行団から今年4月に13億円のシンジケートローンを受けたがここへきての信用不安から簿外債務の実態と資金能力などを精査し、銀行団に返済計画を提出した状況にある。

これは、不渡りなどによる倒産を事前回避するため「私的整理」の段階にすでに入っている動きと言える。

この「私的整理」では、同社が生き残れるか、が焦点になる。それも銀行団の簿外債務の約定違反を含む協調融資いかんにかかる。

私的整理では、銀行などの債権者との間で直接、利害調整を行なって再建計画を合意する。利害調整の内容としては、債務返済の繰り延べや債務カットが含まれる。

仮に私的整理が不成立になれば倒産という事態が一挙に表面化すると同時に、個人会員への前受金返済が一挙に噴出し、社会問題に発展してくるのは避けられない。その意味で同社の私的整理を凌駕する公的整理に転じる可能性も否定できない。

同社の銀行団に対する再建策と銀行団の協調融資による支援策が今月中に明らかになる中で、どのような再建策に道筋をつけるか、注目されるところだ。

参考リンク
株式会社ジンコーポレーション
連載(上)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~新規契約が激減、解約件数も激増~
連載(下)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~規模追求のロードレース型エステ事業終焉に~

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