全身型EMSに横紋筋融解症の危険

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2016.04.5

国際部

全身型の筋肉電気刺激機器の安全性に対する懸念を3月30日、医学専門誌「BMJ」のパブリックリリースが伝えた。

運動をすることなしに筋肉が鍛えられダイエット効果もあるとして、筋肉電気刺激(Electrical Muscle Stimulation:EMS)機器が注目されている。「BMJ」誌の読者である医師の中では、診療患者にEMSによる筋肉損傷を治療する経験があったことから、機器の使用制限を求める声が上がっている。元来、EMSの安全性と有効性の科学的根拠には一定の制限があったものの、使用者からのニーズは強く、多くのフィットネスセンターで設置され、世界的にも普及している。

2015年8月にフィットネス専門のインストラクターの監視下で全身型EMSを使用した20歳の男性が、EMSを使用したセッションのすぐ後に、重度の筋肉痛で病院を訪れた。診断結果は横紋筋融解症(筋肉の分解)で、5日間の入院治療が必要とされた。

医師が全身型EMSの不適切な使用に対する警告をイスラエルのテレビで行ったところ、その後の数日間で病院への問い合わせがあり、2人が横紋筋融解症と診断された。医師らは、これらの症状を持つ人はまだまだ多いと考えており、全身型EMSの使用に注意を呼びかけている。また、2016年1月にはイスラエル保健省がEMSはジム施設内での使用のみ、または医師の指示なしには使用してはならないという公式の安全性警告を発表している。

横紋筋融解症は骨格を支える筋肉の細胞の壊死や融解によって、筋肉の痛みや脱力などを生じるもの。薬品の副作用に多く見られる。横紋筋融解症により筋肉成分のミオグロビンが流れ出し、尿細管が損傷を受けて急性腎不全を生じたり、多臓器不全などの危険もあるという。

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