スパビジネスの創出、法整備・産業振興が焦眉の急

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2013.05.21

編集部

健康意識の高まりとともに温泉、水浴をベースにくつろぎと癒し環境やエステ、指圧などを総合的に提供する施設「スパ」がビジネスとして浮上してきた。シティホテルやリゾートホテル、大型商業施設、健康ランド、温泉施設、フィットネス・ジムなどに健康診断やエステ、指圧などを採り入れたスパ施設が相次いで開業している。また、ここへきて政府の地域総合特区指定に伴い沖縄県や新潟県は、健康を旗印に地域の活性化に乗り出す動きも見られ、新たなビジネス創出の期待が高い。
少子高齢化の進展や人間関係の阻害、複雑な社会背景などから「くつろぎと癒し、健康なライフスタイル」を意識する国民層が老若男女を問わず増えている。

そうした中で、水や温泉を利用して心を癒し病気やけがの治療、健康を取り戻すスパ施設を採り入れた外資系ホテルが2005年以降から大都市圏を中心に急増。現在では、グランドハイアットやザ・ペニンシュラなどの外資系ホテルに加えホテルオークラ、ホテルニューオータニなど国内勢合わせて約60社がスパ施設の導入を図った。

いずれも温水浴やエステ、ヨガ、気孔鍼灸などの施術やサプリメント、漢方、ハーブなどの物販販売、健康相談、問診などを行う専門スタッフを配置してサービスする。自治体も医療や健康の総合開発にスパ、予防医療を採り入れた動きが出てきた。

沖縄県は、産業振興プロジェクトの一環として観光と医療、健康食品、保養を集積した産業クラスター(技術・産業集積)計画を進めている。
同県の産業クラスター計画は1.先端医療の集積地として創薬開発、高度医療の研究開発と合わせて観光と医療を目的としたメディカルツ―リズムの受け入れ促進2.健康産業の集積地としてリゾートとエステ、スパ、メディカル、スポーツ施設などのヘルスタウンの形成とサ―ビスの提供3.観光リゾート産業の形成などを図るもの。

新潟県は「健幸長寿社会創造ウエルネス」と名付けた健康県を目指す。同県の見附市では、街中の銭湯をコミュニケーションの場と位置付け健康の一大施設とし旗艦産業に育てて行く。

このような自治体が行う医療や健康などの創生と産業集積を目的とした地域活性化策は、スパ施設のビジネスとしての期待が高まる。観光と医療を目的とした医療ツーリズムに訪日する外国人に病院やホテルでのメディカルスパサービスを提供することで、ビジネスの波及効果は大きい。

しかし、ビジネスの期待が高い半面、法整備と産業としての形態を整えて行くことが焦眉の急となっている。消費者からスパの概念が正しく理解されていないことやスパと同じく受け止められるサウナ、温泉、エステ、リラクゼーション業との違いが明確ではなくそれぞれの業界団体が乱立している状況にある。また、現在、エステやサウナ、健康ランド、公衆浴場は、公衆浴場法が適用されている。ホテル内に設置されるスパ施設は、旅館業法の適用となっている。スパに至っては、産業分類上サービス業に位置付けられ、独立した産業にはなっていない。当然の事ながら市場規模や事業の実態すらデータがない。

新たなビジネスを創生し、経済の成長に繋げるためにも経産省と業界団体とが連携を図り法整備と産業振興策に向けた取り組みが焦眉の急となっている。

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