薬膳料理が抗酸化を助ける

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2016.10.25

編集部

食全体3日本の風土・ニーズに合わせた中医薬膳のスペシャリストを養成する「薬膳アカデミア」(代表・和田暁 高級中医薬膳伝授師)主催の薬膳講習会「抗酸化と薬膳」が23日、都内の栄養専門学校で開催され、活性酸素が原因で引き起こす様々な体の不調に対して有効な薬膳の食材や料理が紹介された。

同講習会は、前半が和田氏による「中医学から見る抗酸化」と題した講演会、後半が抗酸化の薬膳料理実習で構成。抗酸化に対する薬膳的知識を身に着けたうえで、実際に調理に臨むという実践的な形式で、参加者たちは半日使って抗酸化薬膳に対する知識と技術をしっかりと身に着ける場となった。

活性酸素は本来、体内に侵入したウィルスや細菌などから身体を守るもの。しかし、これが増えすぎてしまうと、身体の内部を酸化(さび)させ、さまざまな生活習慣病を招く。身体には活性酸素を抑える抗酸化酵素(SOD)を持っているものの、年齢とともに減少してしまうため、前半の講演ではそれを薬膳的にカバーする方法が紹介された。

和田先生_2具体的には、「補気」「涼血」「活血」「補肝腎」「健脾」「理気」「清肝解毒」「補血安神」の8つが挙げられた。食事からの栄養や呼吸から得た酸素を使ってアデノシン三リン酸(ATP)を作るミトコンドリアを、中医学の“気”の生成になぞらえて「抗酸化を高めるには補気がもっとも大切」(和田氏)と強調。食材として山芋、さつまいも、きのこ、豆類などを挙げた。

また、紫外線にも注意が必要。紫外線を浴びると体内の活性酸素が活発化するため、細胞の酸化を食い止めようとメラニン色素が発生し、これがシミの原因になる。また、コラーゲンも紫外線で酸化してしまうため、肌の弾力が失われてシワのできやすい状態になる。これらに対しては涼血食材を紹介。ツバキやボタンなどの赤い花、比較的色の濃い食材のナスやレンコンなどを挙げた。「身体に熱がこもっているので、解熱できる苦い食材が良い」(和田氏)。

例えば喫煙者に多い“お血”体質の人は、活性酸素が血管を傷つけたり、血中コレステロールが酸化したりする。そのため活血が不可欠だとして、「血行を促進する紅花など、バラ科のものでお血を取る。赤い色は血行を良くする意味がある」(和田氏)としてサンザシなどを紹介した。

活性酸素は老化も早める。加齢とともにSOD生産量は減少するので、滋養強壮の補肝腎を行うと良い。食材としては、色の濃いものが良いとして、ブドウやベリー類、ゴマなどを挙げた。また、「ナッツ類などの種は子孫を残すものなので、一番栄養が豊富。中でもヘーゼルナッツは最近、抗酸化に断トツ優れていることがわかっている」(和田氏)という。

調理風景_2補肝腎系の食材がいくら栄養が豊富だからといっても、消化する力が足りなければ意味がない。そこで、胃腸を整える健脾も重要だとして、黄色い食材のゆず、レモン、スダチなどを紹介。また、香りの高い柑橘類は気の流れを良くするので、ガスがたまりやすい人にお勧めだとした。

現代人が口に入れることの多い添加物に対しては「解毒するために肝臓はフル回転で働いており、負担がかかっている」(和田氏)ことから、緑茶や瓜類などの緑で苦みのある食材を摂ることを勧めた。このほか、睡眠と関係があるメラトニンは抗酸化作用を助けることから、快眠を促す安神食材の代表格としてナツメを紹介した。

看板講演後、参加者はそれぞれのグループに分かれて、厨房へ移動。和田氏の指導の下、補腎の「トマトと燕麦の車エビ蒸し」、活血の「紅花鮭の和え物」、補腎潤肺の「すっぽん山芋ふわふわスープ」、補腎活血の「ヘーゼルナッツの豆乳ムース」、補気補血の「クコの実ドレッシング付き簡単鶏ハム」、補腎陰活血の「ごまと山査子グミ」などの薬膳料理を作り、和やかな雰囲気の中、試食を楽しんでいた。

参考リンク
薬膳アカデミア

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