松本じゅん氏、中国薬膳料理大会で日本人初の3位入賞

最新商品

2017.01.18

編集部

「ママはホームドクター、台所は薬局」がモットーの神奈川県在住の薬膳料理人、松本じゅん氏が、昨年行われた中国の薬膳養生料理コンテスト「第9届中国薬膳製作技術大会」の個人部門で、日本人初の3位入賞を果たした。自身の薬膳料理の腕を試すために参戦を決意。「元々、賞を狙っていたわけではないので、受賞にとても驚いたが、本場の中国で認められてうれしい」(松本氏)と、喜びを隠し切れない。

同大会は、中国薬膳研究会が主催するもので、2年に1度、北京で開催。個人と団体の2部門において薬膳料理の腕が競われる。今回は星付きレストランレベルのプロ級の腕を持つ料理人たち合計300名が参加、うち個人部門には70名が参戦した。「外国人の参加者は私一人で完全アウェーの状態」(松本氏)だった。

個人部門では、冷菜、温菜、デザートの3種類の腕が競われる。それぞれに規程料理と自由課題の料理が課せられ、合計6品を各10人分ずつ(計60人分)作ることが求められる。1種類あたり50分の時間が与えられ、この時間内に規程料理と自由課題の料理を作らなければならない。

審査項目は中医薬膳の処方、治療方針、治療方法、料理の味、包丁技術、衛生面、作業効率、芸術性。同大会に先立ち、中医薬膳の処方については事前に書類として提出しなければならず、当日はそれに基づいて実際に調理する。審査員は参戦者の調理する姿を観察して採点を行う。

松本氏は自由課題料理として、冷菜に「根菜類のテリーヌ」、温菜に「ミートローフ」、デザートに「パウンドケーキ」をそれぞれ作った。このうち冷菜については、五色の養生理論を使わなければならないという規定があり、どうやって五色を実現するか悩んだという。

「普通に五色作ろうとすると、五色バラバラに作る必要がでてくる。1つの料理の中に五色を収めるには“補気”の食材で構成するしかない」(松本氏)とひらめいた。具体的には、赤色は京ニンジン、黄色はかぼちゃ、白色は山芋を選び、黒色と青色は紫芋とブロッコリーで代用。「スライスした際の断面の色彩もきれいに出て、外観も悪くない仕上がりとなった」(同氏)。

デザートについては、過去に松本氏があるお客のために提供し、実際に効果を上げた実績のあるパウンドケーキ。「貧血で悩む女性から相談を受けたのがきっかけ」(松本氏)で考案したレシピで、龍眼肉、なつめ、枸杞の実、干し葡萄を盛り込み、できる限り油と砂糖を抑えた。「“養血”に使えるレシピとして、逆に審査してもらいたかった一品」(同氏)だったという。

温菜は、パウンドケーキの金型をそのまま応用できる料理にということで、ミートローフを選択。“滋陰”をテーマにアスパラとうずらの卵を盛り込んだ。

松本氏の料理のポイントは、限られた状況の中で限られた道具をいかに駆使して、薬膳を実現するかという点。「中国現地の厨房の状況もわからない中で、最低限のアイテムで作ることができる料理を目指した」(松本氏)。実際、審査項目にある芸術性では、料理の飾りつけを事前に用意できると規定されていたが、税関などの問題を考慮して、特に持参しなかった。周りの参加者が派手に飾りつけと演出をしているを目のあたりにして、「受賞は絶対にない」(同氏)と諦めていたという。

ところが結果として、冷菜、温菜、デザートの3種類とも金賞を獲得した者だけが表彰される「全能特別金賞」を受賞。今回、松本氏を含む8名の参戦者が同賞を獲得した。このうち、最も優秀な成績を収めた上位3名が選出され、松本氏はみごと3位に入賞した。

今回の受賞をバネに、「一人ひとりの体質・体調に合わせた薬膳料理教室を作っていきたい」(松本氏)考え。将来的には、薬の使いづらい産婦人科での薬膳提供や、薬膳料理人の養成スクールの開設、国内の生薬生産など目標は多く、夢は尽きない。

参考リンク
松本じゅん氏のブログ

#

↑