啓凛薬膳会、立春に先立ち“補腎”で冬を乗り切る

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2017.02.1

編集部

NPO法人 国際薬膳協議会 理事長の中村信也氏(東京家政大学 教授)と中国料理 啓凛 オーナーシェフの宮脇啓功氏が中心となって活動している「第32回啓凛薬膳会」が1月31日、都内の啓凛で開催された。春を迎えるに先だって“補腎”をメインにした薬膳料理が振る舞われ、参加者たちは薬膳に対する知識と理解を深めた。

同会は、原則として毎月第4火曜日に開催。中医学の「陰陽五行論」の理論に基づいて作られた薬膳料理を堪能しつつ、参加者同士の親睦を図っている。医学博士で整形外科医でもある中村氏の指導のもと、宮脇氏が腕を振るって豪華な薬膳料理を提供しており、参加者からは「思った以上に美味しい」「身体がポカポカ温まった」などの声が寄せられている。

立春を控えた、冬の最後の節気である「大寒」に合わせて、今回のテーマは「迎春補腎薬膳」。まず、食前茶にカゼ予防の金銀花陳皮茶と、肉桂、丁香、淮山、枸杞子などに白酒と砂糖でソーダ割した食前酒でスタートした。

今回の薬膳コースは、旬の薬膳、養生薬膳、治療薬膳の大きく3つにわけて振る舞われた。旬の薬膳では、陰陽の調整を目指した「油菜花牛肉」「葱油水芹」「酥炸土当帰」、補腎強精の「海帯桜花蝦」、抗悪性貧血の「芥末蝦夷海螺」で構成。「菜の花は苦味で沈静に働き、牛肉は補気補血」(中村氏)でバランスを調整する。「葱油水芹」は、来たるべく春の陽気の急増を抑えるためセリを入れ、まこも茸山とともに陳皮入りの葱オイルソースで仕上げた。

養生薬膳では、和食の「五法」という調理法を採用した薬膳を提供。“生(切る)”は「色拉槍烏賊」、“焼く”は「焼烤伊比利亜猪」、“煮る”は「白灼天使蝦」、“炒める(揚げる)”は「漁香野猪肉」、“蒸す”は「清蒸天麻雷魚」で構成した。「色拉槍烏賊」の子持ちヤリイカは紅花とオリーブオイルのソースを添えたもの。「焼烤伊比利亜猪」のイベリコ豚は玫瑰酒や五香粉などを使ってオーブン焼きしたもので、“滋陰潤燥”する。

治療薬膳では、今回は頻尿・尿意切迫をテーマに据え、腎の働きを正常化する黒いもの、塩気のある食材を使った「黒米栗子荷葉飯」が振る舞われた。黒米は“活血”“滋陰”、栗は“補腎陽”。「黒米と白米を干し貝柱のスープで炊き上げた」(宮脇氏)。食後は「水果杏仁豆腐」「椰子糖生姜茶」で締めた。

同会では毎回、ゲスト講師による講義も食事の合間に行っている。今回は、作家・遠藤周作氏の番記者だった健康ジャーナリストの原山建郎氏が招かれ、遠藤氏が医療に対して抱いた思いの一端を紹介、参加者たちは興味深く聞き入っていた。

参考リンク
NPO法人 国際薬膳協議会

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