リプロセル、幹細胞の培養液を開発・化粧品原料として供給

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2017.07.13

編集部

幹細胞や再生医療のバイオベンチャー「株式会社リプロセル」(神奈川県横浜市、2003年2月設立、2013年年6月ジャスダック上場)は、化粧品メーカーの株式会社キレートジャパン(東京都豊島区)と共同で取り組んでいた幹細胞化粧品「セルアージュ」を開発し、化粧品分野に本格参入した。セルアージュの販売は、リプロセルとキレートジャパン及び株式会社昇陽(東京都渋谷区)の3社が合弁で設立した「株式会社リピロキレート」(東京都渋谷区)が9月1日から販売を始める。

リプロセルは、キレートジャパンとの間で2016年11月に幹細胞の培養液を使った幹細胞化粧品の共同開発に取り組むことで合意。同時に、リプロセルとキレートジャパン及び昇陽の3社が幹細胞化粧品の販売会社「リプロキレート」を合弁で設立(2016年11月、資本金3000万円、出資割合リプロセル35%、キレートジャパン40%、昇陽25%)し、世界でも類を見ない幹細胞化粧品の事業体制を整えた。

リプロセルとキレートジャパンの幹細胞化粧品の共同開発は、リプロセルが得意とする幹細胞の培養技術とキレートジャパンの凍結真空乾燥技術「ナノソープ」を融合し、幹細胞の培養液(写真=凍結保存液)を原料に配合した幹細胞化粧品の開発を実現した。

リプロセルは、培養した幹細胞から成長因子を抽出するところまでを担当、キレートジャパンが成長因子を組み込んだ化粧品の開発を行った。

これを契機としてリプロセルは、化粧品分野に本格参入する足掛かりをつかんだことになり幹細胞の培養液供給に力を入れる。また、合弁会社リプロキレートは、オーガニックや美容サロンなどをターゲットに直接、販売に力を入れ、拡販に繋げていく。

リプロセル は、欧米のバイオベンチャーを相次いで子会社化し、ヒトIPS 細胞に関わる研究試薬の製造販売から細胞製品の作製、創薬支援サービスに至るまでワンストップでグローバルに提供できる体制を構築している。2017 年から再生医療分野に進出し、将来的には同市場で世界No.1 企業を目指している。

一方のキレートジャパンは、佐藤社長が食品関連事業の経営から一大発起して化粧品のOEM事業を立ち上げた。法人設立は、2011年1月と歴史は浅いものの、佐藤社長が前職の食品関連会社で永年培った凍結真空乾燥技術(フリーズドライ製法)を化粧品に応用して防腐剤不用のフリーズドライコスメを開発。また、化粧成分を角質層に放出して滞留させ、浸透率を高めたカプセル化技術「ナノソーム」を開発するなど技術開発型のベンチャーとして異彩を放つ。

同社が今度の化粧品開発に応用したフリーズドライ製法は、化粧成分を損なわずに凍結・乾燥させるため、温度帯、凍結時間の最適化を図り粉末状に加工して長期保存、使用する直前に水を添加するだけで、鮮度を保つ美容液を作り出せる。
このため、防腐剤を使って複数の化粧成分を液体の状態で長期保存する必要がなくなり、防腐剤を一切使用しない防腐剤完全無添加のフリーズドライコスメを実現した。化粧成分の浸透率を高めるカプセル化技術「ナノソーム」は、特殊加工したゼラチン(素材)を生体吸収材とした「ハイドロゲル」に化粧成分をカプセル化して包み込み、ドラッグデリバリーシステム(薬物搬送システム=DDS)を使って化粧成分を角質層に届けて放出し、浸透させる。

化粧品市場では、幹細胞に含まれる成長因子を抽出して化粧水や乳液などの成分に加えた商品が米国で開発、業務用として商品化されるなど今後、成長が見込める新領域として注目を集めている。

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