食品添加物の防腐剤が肥満につながる

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2017.08.21

国際部

食品防腐剤がヒトのホルモンに影響し、肥満を促進しているかもしれないという研究結果が8月9日、米国ロサンゼルスにあるシダーズ=シナイ・メディカル・センターの公式サイトに掲載された。論文は「Nature Communications」オンラインで発表されている。

この研究で試験されたのは内分泌かく乱物質として知られている化学物質3種。栄養素を保護し脂肪の腐敗を防ぐために食品に添加される抗酸化物質のブチルヒドロキシトルエン(BHT)、調理器具やカーペットなどに見られるポリマーのパーフルオロオクタン酸(PFOA)、水溶性で海産物への蓄積が懸念されている塗料に多く使用される化合物のトリブチルスズ(TBT)である。

研究者らは、ヒト幹細胞から作ったホルモン産生組織を用いて、これらの化学物質への慢性的な曝露が消化器系から脳へのシグナル伝達を妨げ、「満腹」がわからなくなる可能性を示した。同センター准教授Dhruv Sareen博士は「これらの化学物質のそれぞれが腸と脳との間を伝達するホルモンを傷つけていることがわかった。テストされた3種類の化学物質のうち、BHTは最も有害な影響をもたらした」と述べた。さらに、今回の研究に使用された新しい試験システムは、化学物質の健康評価が安価に安全にできる可能性があり、Clive Svendsen博士は「これは、内分泌かく乱物質がヒトホルモン系を傷つけ、米国における肥満研究へどのように寄与できるかを実質的に改善する画期的な研究である」と述べている。

ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)は酸化防止剤として日本でも使用が許可されている食品添加物である。魚介類冷凍品(生食用冷凍鮮魚介類及び生食用冷凍かきを除く)および鯨冷凍品(生食用冷凍鯨肉を除く)の浸漬液、チューインガム、油脂、バター、魚介乾製品、魚介塩蔵品、乾燥裏ごしいもが厚生労働省による使用できる食品にあげられている。

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