中医学による皮膚病の治療方法などを紹介

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2017.10.12

編集部

中国文化センター(東京都港区)の「中華養生シリーズ講座 第8回 中医学で考える皮膚病」が11日、同センター内で開催され、講師の株式会社誠心堂薬局(千葉県市川市)学術部課長の楊琰氏が中医皮膚病学の概略や弁証論治の方法などについて紹介した。

今回の講座では、皮膚病も中医学の理論を使えば治療できることを紹介した。中医皮膚病学の対象範囲は広く、例えばウィルス系のものではヘルペス、帯状疱疹、イボなど、細菌系では膿疱など、アレルギー系ではアトピー性皮膚炎などのほか、単純なニキビや原因不明の紅斑などが挙げられる。

中医学の視点から見ると、皮膚病はまず「風邪」によって引き起こされることが考えられる。具体的には蕁麻疹、脱毛症、しもやけなど。皮膚の腠理(毛穴)が密でなく、外邪の侵入を防ぐ「衛気」が不足すると風邪の侵入を許してしまい、さまざまな過程を経て皮膚病に至る。風邪起因の皮膚病は発病が早く消えるのも早いなどといった特徴があり、治則として「疏風」をメインに据える。

皮膚病にはジュクジュクしたものもあるが、これは「湿邪」が原因となる。例えば湿疹や水虫など。湿邪が皮膚に侵入すると気血と相博。鬱結すると陽気と衛気を損害し、他の雑菌が入って皮膚病に至る。湿邪には、湿気の多い場所などに住んで不調をもたらす「外湿」と、脂っこいものを食べすぎたりして脾胃を損害する「内湿」の2種類あるので、治則として外湿に対しては「滲利」、内湿に対しては「燥化」で対応する。

熱邪による皮膚病については、紫外線による皮膚炎や焼けどなどによる「外熱」と、辛いものの食べ過ぎなどによる「内熱」の2種類ある。内熱については帯状疱疹や紅斑などがあるが、例えば“証”から診ると、“心火”であれば「ハスの実などの食物で調整する」(楊氏)。このほか、ストレスによる“肝火”や便秘の“腸胃実熱”などがある。熱邪の治則は「清熱解毒」がメインで、必要であれば「涼血」「通腑」「利尿」「発汗」も行う。

血管瘤、皮膚紫斑、小腿湿疱などは「血瘀」が原因。血瘀は気滞、寒邪、熱邪、外傷、情緒不安定、不規則な生活によって引き起こされる。このうち不規則な生活とは昼と夜の逆転した生活のこと。中医学では「夜は陰、昼は陽。陰陽のバランスが崩れると、血がドロドロになって血瘀を形成する」(楊氏)。治則としては、活血去瘀、活血化痰がある。

尋常性乾癬(牛皮癬)や老年性掻痒症などは「血虚風燥」によるもので、皮膚の乾燥、肥厚、脱屑などを伴う。治則としては「養血去風潤燥」で、“血虚肝旺”の証の場合は「平肝潜鎮」を組み合わせる。

皮膚病の弁証論治に際しては、病歴の確認も含めた、中医学独自の“四診”“八綱”という診断方法を用いるが、その時は痒み、痛み、しびれなどの自覚症状と他覚症状をしっかり診る。他覚症状では「皮膚の損害部位の確認が大切」(楊氏)といい、原発性のもの(斑疹、丘疹、膿疱など)かあるいは続発性のもの(糜爛、亀裂、色素沈着など)かをきちんと判断していくことの重要性を強調した。

参考リンク
中国文化センター
株式会社 誠心堂薬局

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