株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO私の使命
インタビュー・山田メユミさん

インタビュー

監修:美容経済新聞

第6回「生活者中心の市場創造とは」

 

ポータルサイト登場の波に乗り

メディアでも注目される

 

 

@cosmeを立ち上げたときに強く意識したキーワードは「ダサ可愛さ」。普通の女性たちが、自分の使っている化粧品について自由に語れる場を作りたかったので、参加するハードルが高くなるのは絶対に避けたかったんです。現在もサイトの各所で使用している女の子のイラストは、サイトのオープンから同じデザイナーさんが書いてくれていました。実はサイトそのもののデザインをお願いしたWEBデザイナーさんが余力で描いてくださったものなんですが、親しみやすい感じが出ているかなと。 嬉しいことに、サイト立ち上げ直後から、『@cosme』には大きな反響がありました。99年というのは、現在も残っているような大きなポータルサイトが多数立ち上がっていった時期です。女性向けのウェブマガジンのようなサービスが登場した頃でもあります。雑誌などでも、さかんにインターネットサービスが取り上げてられていました。『@cosme』も例外ではなく、多くのメディアに取り上げていただきました。

インターネット人口自体も増え、検索エンジンの利用者自体も増えていった頃でしたから、それに連動して@cosmeの閲覧数や書き込み数も伸びていき、それに注目してくれたメディアが取り上げてくれ、また閲覧数が伸びるというありがたいサイクルがありました。自分たちから積極的にプロモーションを打ったことはほとんどありません。サイトそのものが口コミで広まっていったんです。

 

生活者の方1人1人にぴったり合う

商品との運命的な出会いをもたらしたい

 

ちなみに、女性向けポータルサイトのような、ともすると競合になるようなWEBサービスとどのように戦略的に向き合っていくのかという点は、かなり議論を重ねながら進めてきました。例えば、『Yahoo! BEAUTY』さんとは、立ち上げの2002年から連携させていただいてきました(2008年には資本提携も)。他のポータルサイトに関しても、アイスタイルのデータベース情報の提供を戦略的に行ってきました。自分たちのビジネスの核はメディア運営ではなく、あくまでデータベースの拡張。メディアとは競合するのではなく、互いにメリットのある形で提携する方針を取ってきました。

弊社は創業以来、「生活者中心の市場創造」をビジョンに掲げています。前述した通り、化粧品は100人いれば100通りの使用感があるもの。たとえいい商品であっても、商品のターゲットではない人が使ってしまったらネガティブな反応や感想が生まれてしまう。いかにその商品を使うべき人に届けるかという「マッチング」がとても重要なんです。そのためには、生活者の情報をデータベース化して、欲しい人に商品が届くようにするプラットフォームを作る必要があります。ブランドを横断した形で生活者情報を集めることで、生活者のニーズをより正確に把握でき、さらに、生活者お一人お一人に、ぴったりの商品との運命的な出会いをもたらせる環境を作りたい。生活者の方と企業の方のより良い出会いを生み出したい。そんな思いで「生活者中心の市場創造」というビジョンを掲げています。

 

株式会社アイスタイル 取締役 兼 CQO 山田メユミさん

株式会社アイスタイル
取締役 兼 CQO


東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
化粧品メーカーなどを経て、1999年に個人で発行していた化粧品のメールマガジンをきっかけに『@cosme』を企画立案、サイト立ち上げに参画。アイスタイルの共同創業者であり、現在も同社取締役兼CQOを務めるほか、経済産業省等の消費およびインターネット関連委員も歴任している。2017年より、株式会社かんぽ生命保険、セイノーホールディングス株式会社の社外取締役を務める。
文=岡本茉衣 写真=是枝右恭

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