「報じる」だけではない!好循環を生み出す広報術

【インターンシッププログラム】REAL VOICE「報じる」だけではない!好循環を生み出す広報術

特集

長谷川 拓也,長谷川 拓也

株式会社ポーラ 宣伝部 PR担当 堀禎子さんにお話を伺いました。

「タイアップ広告でお客様をどこまで惹きつけられるか」

━堀さんの部署はどんな仕事をされているのですか?

宣伝部の中にもいろいろあるのですが、私はPRチームに所属しています。PRチームは商品全般のPRを行い、新聞や雑誌への掲載を働きかけます。新聞社や女性誌、美容ライターの方々を訪問して、商品の魅力をご紹介するのが主な仕事です。

━具体的にどのようなことをされているのでしょうか?

SAM_1241PRの仕事には、①メディアの方を集めて新製品を紹介する「新製品発表会」、②新製品の魅力を読者に伝えるために、雑誌編集部とのタイアップ記事広告の制作、③編集部やライターの皆さまに、個別に新製品をPRする「キャラバン」、④メディアからの様々な取材対応、⑤掲載された記事を内部に告知する「インナーへのPR活動」などがあります。
「新製品発表会」は、メディアの方々をお呼びして大々的に開催するもので、年に3回から4回は開催します。ブランドの世界観、新製品を魅力的に伝えるために、宣伝部だけでなく商品企画部、研究所が一体となってつくり上げていきます。
そして、その新製品を魅力的に雑誌で紹介するタイアップ記事広告があります。例えば雑誌を見てみると、ある会社のものだけを2~4ページに渡って紹介しているページがありますが、これが編集部とメーカーが一緒につくり上げるタイアップの記事です。ポーラが読者に向けて発信したい内容と、雑誌の読者層やポリシーをしっかり踏まえた編集部のプランが一つになって、一緒につくり上げていくページです。このタイアップ記事広告でお客様をどこまで惹きつけ、実際の購買行動につなげられるかが非常に重要です。
認知率やブランドの世界観を伝えるには純広告のほうが優れている面もあります。例えば、バッグの純広告を見たら、「あそこに持っていったらかっこいいいかも」とか、自分がそれを実際に使っているところを想像できます。でも、化粧品の場合は、商品だけ載っていても、実際にはどのようなものなのかは分りづらいですよね。化粧品の場合は世界観を魅力的に伝える純広告も必要ですが、商品が肌にどのようなアプローチをしてくれるのか、使用感や魅力をより的確に伝えるには、やはり雑誌とのタイアップ記事広告も重要な役割を担っています。
雑誌とのタイアップは編集部や、ライターの方々とのコミュニケーションを深めたり、より雑誌の特長をつかむという意味でも、とても大切な仕事です。

「タイアップの効果」

━タイアップ広告を出した後は、次にどのようなことをされるのでしょうか?

SAM_1246_01タイアップ広告の記事は販売の第一線で有効に活用していただけるように、記事が掲載されたらすぐに情報を流しています。「宣伝で商品を掲載してもらいました」で終わるのでなく、掲載したものを実際に販売の場で役立てていただけるように考えて発信しています。大きな予算を使って活動していますので、それに見合った成果を出す仕事をしないといけないですよね(笑)。メディアへの掲載はもちろんですが、現場の方々が少しでも活動しやすくなるためにサポートをするということも宣伝部の大きな役割の一つです。「こんなにお金を使って何をやっているんだ」「現場のためになったの?」ということになってしまいます。

━タイアップ広告や日常のPR活動で、目に見える形で効果は表れるのでしょうか?

タイアップ広告を打ったことによって、商品の魅力が読者に伝わり、実際の購買につながることが何よりの成果だと思っています。また、編集部やライター皆さんとのコミュニケーションが取れ、商品の魅力を理解していただき、納得していただくことで、パブ掲載や取材をいただく機会も少しずつ増えてきます。パブ掲載や取材が取れるととてもうれしく、PRとしてのやりがいも感じられます。また、編集記事なので商品の魅力にも説得力がありますよね。美容誌や主要女性誌には必ず美容のページがありますが、半期に1回のペースで「ベストコスメ」が発表されます。グランプリが取れると、百貨店などでは雑誌を見て買いに来られる方が多いので、お客様層が広がります。ベストコスメは最近では、お客様の信頼を得る意味で重要な位置づけになっています。ベストコスメを毎年とり続けることで、さらにポーラのファンを増やしていきたいと思っています。
訪問販売のレディさんにとっても、ベストコスメは有力な要素にはなるのですが、どちらかというとレディさんの意識づけになるというのが大きいです。「多くの方々に認めてもらった商品を私たちは売っているんだ!」というプライドにつながっているのだと思います。

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━雑誌などのメディアで商品を取り上げてもらうことは、消費者だけでなく社員のモチベーションにもつながるということですね。

そうですね。内部のモチベーションにもつながります。商品企画は「さらによい、魅力的な商品を創らなければ」という使命感にもつながっていると思います。

「大切なのは行動力」

━昨年の朝日新聞の記事に、日本一の美肌県を決める日本美肌県グランプリが取り上げられていて、堀井さんが載っているのを拝見しました。こういった取り組みも宣伝部がされているのですか?

これはまさに現場と連動したことができないか、ということで始めました。アペックス・アイという化粧品があるのですが、肌分析をしてお客様にあった化粧品をお届けしています。地域ごとの肌の違いが分析の結果からわかるので、昨年は1か月半くらいのキャンペーン期間で肌分析をしたお客様のデータを1位から47位まで順位をつけて発表しました。多くのメディアに取り上げていただき、アペックス・アイを知っていただくきっかけにもなりました。今年もまたやります。今年は1年間のデータを基にして、グランプリを発表する予定です。

━ポーラといえば、しっかりしたカウンセリングで消費者に合った化粧品を提供することを大切にしているという印象ですが、それが美肌県グランプリに繋がっているのですね。

大きい意味ではポーラもこういうことに貢献できるよ、ということの1つだとは思います。ポーラでは、アンチエイジングアライアンス(AAA)という活動を行っています。“いつも、いつまでも、美しくありたい”という女性たちの輝く生き方を応援する活動です。①AAAの啓蒙活動(TV、雑誌、書籍、WEB等でのAAA思想の発信)。②イベントやセミナーの開催。③文化や芸術支援(ポーラ ミュージアム アネックス(銀座)での文化・芸術の発信や、新体操ナショナル選抜団体チーム「フェアリー ジャパン POLA」のオフィシャルパートナーとして、メークやスキンケアの美容サポート)。④商品やサービスの提供。⑤社会貢献活動(クリーン活動、美容ボランティア、子宮頸がん啓発への参画、エコキャップ、TABLE FOR TWOなどのボランティア活動)などがありますが。実は、ポーラには90歳以上で現役で活躍しているポーラレディが489人(2012年11月現在)いらっしゃいます。ポーラには定年がないんです。昨年11月に、この90歳以上方11人にインタビューをしてまとめた「美婆伝」をAAAの活動の一環として発行しました。とても話題になり、メディアからの取材依頼も多く受けました。いつまでも元気にバリバリ働いている姿を見るとこちらも元気づけられますね。これからどんどん高齢化社会になっていく中で、おしゃれを忘れず、美しく輝いている姿は、みなさんに勇気を与えてくれますよね。年齢にとらわれず、前向きに若々しく生きる女性を応援したいという気持ちでこの活動を行っております。

━様々な取り組みをされていますが、広報や宣伝の仕事に求められる資質とは何でしょうか?

行動力ですね。人と会うって怖いですよね。とてもじゃないけどやっぱり最初怖いですよ(笑)。相手がどういう人か分からないし、会ったこともない人に電話するってけっこう勇気いるでしょ(笑)。(一同同意)
それでも電話して会って、とにかく行動しない事には一歩も進まないので、行動力です。仕事って全部そうかなって思っています。

今回は、株式会社ポーラで宣伝部PR担当をされている堀禎子さんにお話を伺いました。お仕事にかける思いと、それを丁寧にお話しされる姿がとても印象的でした。またタイアップ広告について深いお話を伺うこともでき、とてもためになりました。堀さん、ご協力ありがとうございました。

取材先紹介
株式会社ポーラ

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