理美容・エステ・美容家電各社の成長戦略【1】アルテサロンHD、10年ビジョン1千店舗目指す

2013.10.8

特集

編集部

国内の理美容・エステ・美容家電各社は、成熟市場の中で消費構造の変化、低価格化、大手の寡占化などが進み、企業間格差が一挙に表面化している。また、国際化の進展でアジア市場に軸足を置いてグローバル化に対応する企業と、国内に踏み留まって玉石混交とした市場で活路を見出す企業の2極分化が顕在化している。そうした業界、市場構造の中で、成長、発展を遂げる元気印の企業に視点を当てて各社(未上場企業含む)の成長戦略に迫った。

第1回は、創業者で上場(2004年東証ジャスダック)を実現し、経営全般の舵を切るアルテサロンホールディングス(HD)取締役会長・吉原直樹氏に同社の成長戦略を聞いた。

10年ビジョン1千店舗目指す、マレーシア進出も

アルテサロンHD取締役会長吉原直樹氏

―国内理美容市場の評価・分析から伺いたい

「国内の理美容市場は、約2兆2千億円市場を形成し、大手の寡占化状態が続いています。売り上げ上位40社で市場規模の約8%を占めており当社が、その内の約1%の市場占有率となっています。」

―寡占化の中でどのような事業展開を図っていますか

「当社グループは、大きく分けて2つの店舗ビジョンとして開方式で事業を行っています。ひとつは、独立希望を持ち勤続10年の社員に経営者になってもらう暖簾分けフランチャイズ(FC)方式で子会社のアッシュとニューヨーク・ニューヨークが店舗展開しています。もうひとつは、外部の美容師の独立希望を具現化する外部加盟型FC方式で、子会社のスタイルデザイナーが店舗展開しています。また、店舗そのもののコンセプトは、およそ3グレードに大別しています。アッシュとニューヨーク・ニューヨークが展開する比較的大型店舗の「プチ・プレミアムサロン」、スタイルデザイナーのメンバーシップサロンを中心とした中規模店舗の「カジュアルサロン」と「街中ファミリーサロン」の3タイプに区分して店舗展開しています。当社のグループチェーンは、直営店からFC店への転換をすすめており今後は、新規店舗もFC店としての出店が中心になります。今期(2013年12月期)のグループチェーン総店舗数は、266店(前期257店)、全店売上高172億円(同170億円)を計画。ビジョンとして10年後に1,000店舗の出店を目指します。」

―海外事業の展開や新規事業の計画は

「海外に在住する日本人にとって質の高いサービスを提供する美容室がありません。こうしたニーズに沿って当社の高度な美容技術や店舗ノウハウをアジア市場で拡大する狙いで今年6月、シンガポールに合弁会社を設立、7月に1号店をオープンしました。当面、技術者の教育に力を入れ、基盤が図れた段階で2-3年後にもマレーシアへ進出する計画です。
また、店舗の収益拡大策としてポーラと共同開発したプライベートブランドの基礎化粧品を今年9月からチエ―ン店舗で販売しています。今期は、約4千万円の売り上げを見込んでいますが来年6月にも第2弾の新製品販売を予定しており将来、2商品合わせて年間2億円の売り上げに持って行く方針です。」

―事業の成長・発展の原動力は何か

「美容室の商品力は、美容師力であり美容師力を磨くことが美容室のマーケティングを上昇気流に乗せ、高収益の循環を生み出す源泉と考えています。現在、美容師の教育として当社のアルテ・アカデミーでの研修をはじめ技を競うイベント開催や年数回の海外研修、英国ロンドンの提携サロンでの長期勤務などを行っていますがさらにモチベーションとキャリアアップの向上に力を入れたいと思っています。同時に、高齢者の美容師が若い美容師に技とノウハウの伝承を行い、生きた教育を行いながら生涯美容師として活躍できる経営環境を創出して行く考えです。」

連載「理美容・エステ。美容家電各社の成長戦略」は、毎週火曜日掲載します。

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株式会社アルテ サロン ホールディングス

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