【連載】台頭する創薬・再生医療ベンチャー【7】 イーピーミント 3ヵ年計画スタートへ、100億円大台乗せ狙う

2013.11.21

特集

編集部

イーピーミントは、医薬品開発支援サービスや化粧品、食品、医薬品などの分析サービスを行うイーピーエスの連結子会社。1992年に会社を設立し、2011年9月にジャスダックに上場した治験支援(SMO)業界の大手。2014年9月期を初年度とする3ヵ年中期経営計画をスタートさせる計画で、売り上げ100億円台乗せを狙う。

同社のSMO事業は、がんや糖尿病などの新薬開発の臨床試験を行う製薬企業に対して同社と業務提携基本契約を締結した全国2,500(2013年9月末現在)の提携医療機関の中から臨床試験に適応した医療機関を紹介する。また、製薬企業と医療機関との間で治験が決定した段階で、同社と製薬企業、医療機関3社が治験実施契約を結び同社が医療機関に対して治験コーディネーター(CRC)を派遣し、SMO業務を行う。治験実施契約に基づき製薬企業は、医療機関に対し研究費などを支払うとともに同社に対し業務支援費用を支払う(図参照)。

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同社が医療機関に対して行うSMOサービスは、厚生労働省の定めるGCP省令(医薬品の臨床試験の実施基準)に沿って行われる新薬開発時の治験(第I相、第II相、第III相試験)や製造販売後の臨床試験を支援の対象としている。支援業務は、大きく分けて治験コーディネーター(CRC)業務と事務局業務の2業務を中心に展開。

CRC業務は、同社の520名(今年9月末現在、国家資格者9割強)にのぼる治験コーディネーターを提携医療機関(施設)に派遣し、臨床試験が医療機関で円滑に実施されるように治験担当医師、被験者(患者)、製薬企業などとの調整を行い、医療機関における実務支援を行う。具体的には、被験者対応・スケジュール管理、同意取得(インフォームド・コンセント)のサポート、症例報告書の作成支援、モニタリング及び監査対応など医療行為外の実務支援を対象とする。

事務局業務は、標準業務手順書の作成、治験事務局の設置運営補助、治験審査委員会の設置運営補助、臨床試験の啓発、GCP教育など信頼性の高い臨床試験を実施するための適切なインフラ整備、実際の臨床試験への対応に関する事務支援を対象としている。

全国に2,500の提携医療機関を持つ同社は、SMO事業の強化を図るため、㈱エスメディサを吸収合併(2012年4月)したのに続き今年3月に全国2700の医療機関を抱える㈱臨床サイエンスと業務提携し、両社を合わせて5000を超す施設のネットワークを構築した。
今期(2014年9月期)業績(単体)は、製薬企業からの臨床開発コスト、工数削減などに対応した提案営業の推進と受注拡大。医療機関に対し力を入れているがん領域の案件を上乗せする受注活動やプロジェクト管理体制の強化、業務の効率化による生産性の向上を図るなどして売上高65億円(前期57億円)、営業利益9億円(同4億円)、当期利益5億6300万円(同2億300万円)を見込む。また、2014年9月期を初年度に2016年9月期までの3ヵ年中期経営計画をスタートさせる。「現時点で3ヵ年中期経営計画の具体策は固まっていないが3ヵ年間で売り上げ100億円を目標数値として検討している」(管理本部)という。

同社では、中長期の経営戦略として顧客戦略と施設戦略を重点に攻略する。顧客戦略として製薬企業に対し、提案営業の拡大やスピード、質の向上を目的としたデータベースの構築、親会社、提携会社と連携を図った臨床試験の受注拡大、大規模臨床研究の受託拡大を図る。また、施設戦略としてがん領域のブランド強化を目的に全国のがん拠点病院との提携を強化するほか地域単位で症例集積度を高めたユニットとすることで臨床試験運営の効率化に繋げる。

現在、SMO業界の市場規模は、2012年度で430億円程度と見込まれ、業界団体の日本SMO協会に加盟する企業数55社が激しい過当競争を展開。同社を含む3社が市場規模の50%近くを占めるなど寡占状態にある。こうした中で同社は、複数の大手製薬企業から「プリファード(優先的)SMO」として第一選択先に指名されているがSMO業界の選択と集中が進む環境下で、市場シェアの拡大は避けられない。今後、経営戦略上、他社との提携や企業買収をさらに推進して行く構えだ。

※「連載 台頭する創薬・再生医療ベンチャー」は、隔週木曜日掲載に変更します。

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