「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【8】 ふるさと元気Pro.で100品目の国産化粧原料開発~サティス製薬(上)

2014.04.23

特集

編集部

株式会社サティス製薬(埼玉県吉川市、1992年12月設立)は、化粧品メーカーから化粧品、石鹸、医薬部外品などの製造を委託されて製造を行なう 化粧品受託製造(OEM)企業。埼玉県内に化粧原料を生産する本社工場(生産能力=年産760トン)と固形石鹸専用工場「ふじみ野工場」(第2工場、生産 能力=年産約104万個)及び研究所を持つ。本社工場は、2011年に埼玉県から彩ノ国指定工場に認定されている。

現在、通販化粧品メーカーを中心に0EM取引数は、730社を数える。利益率が低いOEM業界の中にあって化粧品メーカーのハブレス化を反映して業績は、2007年以降、年平均120%の伸びで推移。2013年9月期売上高は、前期比8%増の約22億円に達した。

同社の特徴は、OEM事業に特化しているとはいえ、化粧原料を自ら開発して処方し、化粧機能性を評価するなど優れた技を持つ。

こ れまで開発した機能性を持つ国産化粧原料は、100品目近い96品目にのぼる。その内、90品目の化粧原料はOEM化粧品に配合。また、静岡・伊豆で産出 される白びわの葉から抽出し、抗炎症作用を確認している白びわエキスや和栗渋皮エキスなど6品目(表)の化粧原料は、化粧品メーカーや同業のOEMメー カーからの販売要請に応えて2011年6月から通販ルートに乗せて販売している。

表・現在販売中の化粧原料6品目

サティス製薬_現在販売中の化粧原料6品目

こ うした化粧原料は、同社が推進する国産原料開発プロジェクト「ふるさと元気プロジェクト」(2009年6月スタート)から誕生させた。地域特産品や独自の 栽培法で育てた自然派素材を求めて開発スタッフが全国の生産者に足を運び3年間で、100件の国産素材を探索、製品化に繋げた。

同社がプロ ジェクトをスタートさせたのは、市場で購入できる化粧品原料の多くが外国産。国産原料は、わずか2%程度に過ぎず素材の産地や生産者の顔も見えない。素材 を活かして製品化することで、産地の知名度向上と地域活性化に貢献すること。同時に、生産者情報(トレーサビリティ)を記録した付加価値を持つ化粧品原料 の普及、マーケットを創造して行くことで収益に繋げるのが狙い。

ここへきて青森県の水産加工業者や漁協組合の2社と連携してサメ肝油を利用した化粧原料の開発に取り組んでいる。

経産省の産学官連携補助事業に認定されたことから共同開発しているもので現在、サメ肝油の品質評価・安全性試験などに入っている。

経産省の産学官連携補助事業は、1次産業の農林漁業事業者と2次産業の加工事業者、3次産業の販売・サービス事業者が連携して新製品開発や製造・販売に取り組んで事業化に乗り出す6次産業化を支援する助成事業。

こ うした6次産業化に共同で取り組み成長が見込まれる事業者に対して国と民間の共同出資で設立した特殊法人 株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、サブファンドを通じて投資を行なっている。サメ肝油の開発に見られる6次産業化の取り組みは今後、国産化粧原料の 開発を誘発する起爆剤として波及して行くことが期待される。

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株式会社サティス製薬

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