「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【5】 シリコーンゴム粉末を化粧品中に均一分散~東レ・ダウコ―ニング(下)

2014.04.10

特集

編集部

東レ・ダウコ―ニング社が開発・製品化した化粧用シリコーンが肌への感触、使用感など優れた化粧機能性を実現した技術的要因の1つに球状の形をした 平均粒子径が0.5~50マイクロ(μ)㍍、JIS基準によるA硬さが80以下のシリコーンゴム粉末(粉黛顕微鏡写真)を化粧品中に均一に分散させる独自 技術を開発したことが挙げられる。

一般的に、シリコーンゴム粉末を化粧品中に配合する方法としてシリコーンゴム粉末を乳化剤など他の化粧品 原料と共に混合する方法が採られる。しかし、シリコーンゴム粉末は、分子が集合して1つに固まる凝集性が大きく硬さが低いほど凝集性が大きくなるため、シ リコーンゴム粉末を化粧品中に均一に分散させることは困難であった。特に、化粧品を製造する際に十分な剪断をかけることができない液状化粧品において大き な壁となっていた。また、化粧品中に均一に分散していないシリコーンゴム粉末は、化粧品の感触を硬くし、使用感を悪化させるという問題点があった。

こ うした課題について同社は、平均粒子経が0.1~500マイクロメートル(μm)の架橋シリコーン粒子(シロキサン骨格を3次元に架橋させた固体状弾性ポ リマー)を含有するオイルの水系エマルジョン(シリコーンゴム粉末の水系サスペンジョン)から成る化粧原料の開発に取り組んだ。その方法として、シリコー ンゴム組成物を水中で微粒子状に安定性よく分散させるために、化粧品原料として利用できる界面活性剤の使用料をシリコーンゴム組成物100(重量部)に対 して0.1~20の範囲内で使用。また、水系サスペンジョンを調整する方法として、シリコーンゴム組成物中に組成物の硬化反応に関与しないオイルをあらか じめ配合しておき、この組成物を水中で微粒子状に分散させた状態で硬化させる方法や、シリコーンゴム粉末の水系サスペンジョンにオイルを添加して撹拌時に オイルをシリコーンゴム粉末に含浸させるなどの技術開発を行なった。
silicone_powderこうして、平均粒子径が0.5~50マイクロ(μ)㍍、JIS基準によるA硬さが80以下のシリコーンゴム粉末(シリコーンエラストマ―パウダー=写真)を化粧品中に均一に分散させることに繋げた。

シ リコーンゴム粉末の平均粒子径は、水系サスペンジョン中のシリコーンゴム粉末から水を除去して得られたシリコーンゴム粉末の平均粒子径を画像処理装置に連 動した光学顕微鏡で測定した。引き続き、ケイ素技術のスペシャリストとして乳化剤、皮膜形成剤などを配合して化粧機能性を高めたスペシャリティシリコーン の技術開発に力を入れて取り組む方針だ。

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