化粧品OEM・ODM各社の「ユーザーニーズに対応するわが社の事業展開」【6】 新拠点&東京SR開設、海外も視野~三洋化学工業(下)

2014.07.31

特集

編集部

三洋化学工業は、自社開発の個々の化粧容器について材質、重量、容量、外寸などを自社の規格品(自主規格)として定めるとともに化粧容器に商品名をつけて統一ブランド「風雅」、食品、医薬品、健康食品向け容器「真秀」(まほら)の統一ブランドでユーザーに提案、販売している。

自主規格品として化粧容器の標準化を図りブランド名を付けてユーザーに提案、販売しているのは、国内OEM容器メーカーでも極めて珍しいケース。「容器の総合デパート」として取引先、女性顧客などからの認知度、信頼度は高い。

現在の営業拠点は、本社と東京、名古屋。今年度中にも新たに九州に営業拠点を設置する方向で検討している。また、今年8月には、東京営業所にショールームを開設し、首都圏での提案型営業をさらに強化する。

海外展開も視野に入れている。海外展開は、台湾の容器ディーラーとパートナーを組んで、デザインの再現性、環境配慮型の化粧容器を拡販する。本社に海外専門の組織を立ち上げて海外戦略を具現化する。

「これまで化粧容器の海外展示会に台湾でのパートナー企業と共同で、プレゼンテーションするなど密接な関係を築いてきた。また、海外の専門デザイナーから当社の化粧容器に対する評価も高い」(井上社長)としてグローバル化への意欲を見せる。今後、国際化に向けた構図をどの様に描き具体化させて行くか、注目される。

一方、同社は、設備投資を活発に行なってきたことも特筆される。経産省に提出した「知的資産経営報告書」(2008年)でも明らかだ。以後、本社工場(ISO認証取得)を「タワーオブファクトリー」(T-O-F)に名称を変更し、試作開発専門工場とした。同時に、IT化で、自動倉庫と在庫管理システムを連動し、リードタイムを75%短縮した功績が認められて経産省から「中小企業IT経営力大賞優秀賞」(日本商工会議所会頭賞、2011年)を受賞(写真)。また、容器の企画、デザイン・試作機能を集約した5階建て施設「TOYBOX(トイボックス)」(延床面積396平方㍍)を総工費1億円投じて建設、オープン(2013年)させるなど生産性の向上、経営の効率化を図った。TOYBOXは、劇場型提案施設、異次元の扉、デザイン・アトリエ工房などフロアごとにコンセプトを設定し、創造性を発揮しながらデザイン、試作開発、顧客との打ち合わせなどができる(写真)。

TOYBOX①

こうした一連の開発、設備導入に公的資金(補助金)を積極的に活用している点も特徴。同社がこれまで活用した主な補助金は、大阪地域創造ファンド事業による取替容器「テコ」のシール密閉技術開発をはじめ設備投資として円高・エネルギー制約対策補助金によるライン増設。さらに、2013年、2014年の2年間、もの作り設備高度化支援補助金活用によるトイボックスの加飾機械導入など中小企業向けの公的資金活用は極めて活発。

「引き続き、開発、設備投資面で補助金活用を図って行く計画で現在、申請準備中。また当社は、容器の試作品をほぼ半日から1日で完成させるスピーディな体制を確立した。今後とも、化粧品を引き立てる顧客満足の容器を開発し、問題解決型のソリューションビジネスを強化して業績、業容の拡大を図り雇用の創出に繋げたい」(井上社長)と新規人材の採用を積極的に行なって行く方針。井上社長は、今年秋で3代目経営者に就いて丸9年を迎える。成長の軌道を描く同社の牽引者としての役割に一段と期待が膨らむ。

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三洋化学工業株式会社

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