連載・新興市場上場の美容業界各社の経営・事業動向に迫る【1】 アイビ―化粧品、マーケット開拓で新たに直販態勢模索

2014.09.2

特集

編集部

アイビ―化粧品(ジャスダック上場)は、1975年に法人設立。1996年にジャスダック市場に上場した。連結子会社「株式会社アイプラティナ」とグループを構成。埼玉県児玉郡に美里工場と開発研究所を持つ。同社のスキンケア、メ―クアップ、ヘアケアなどの化粧品販売は、訪問販売の形態を採っているのが大きな特徴。

全国の販売会社と販売代理店契約を交わして卸販売するとともに販売会社の営業所にいる販売員のビューティマネージャー(BM)やアイビーメイツ(IM)を通じて会員を含む顧客(アイビーメイツ=IM)に対して販売する仕組み。

現在、同社と販売代理店契約を交わしている販売会社数は、2014年3月末で231社にのぼる。また、販売会社傘下の営業所数は、4866ヵ所、BM数2万4175人、IM22万人を数える。

同社の売上高は、販売会社へ出荷した金額が計上されるため、販売会社の営業所増設、販売員の増員、新規顧客の獲得などによって大きく業績が左右される。

2014年3月期業績(前期)は、組織活性化と顧客の定着化、新規顧客獲得を推進したものの研修動員が伸び悩んだ影響で、売上高前期比0・7%増の47億800万と微増。利益面は、販管費の節減効果で営業利益同6・8%増の4億7200万円、最終利益同107・6%増の4億3600万円と増益を実現。

同社は、ここへきて中期経営方針に基づいて訪販事業基盤の立て直しと将来の成長準備に向けた取り組みを始めている。

訪販事業基盤の強化については、競争力のある販売方法や販売組織の育成法、販売支援などを再構築して立て直しを図る。また、継続した成長を目指すためのビジネスモデルの構築や時代に即したサービスインフラの整備、海外事業の拡大を成長の糧として取り組む。

海外事業については、ディストリビュ―タ支援や販路拡大に取り組んできたロシアでの事業展開を凍結し、台湾での事業拡大を進める。台湾では、2013年9月に台北市内の百貨店に店舗を開設した。また、新たなマーケット開拓として直販化粧品事業の探索に乗り出しているほか債務超過に陥っている子会社アイプラティナを取引先・固定客に特化した支援・サービスに集中化した展開を進める。当面、課題となっている販売会社への支援強化や新たなマーケットの開拓を目指す直販体制の構築が関心の的。

一連の事業施策によって同社は、今期(2015年3月期)の業績予想を売上高48億円から50億円、経常利益5億1000万円から6億1000万円、最終利益3億円から3億600万円を見込んでいる。

同社の基礎研究も注視される。美白製品の基礎となる素材開発や皮膚専門医と共同で、皮膚の保湿状態とDDS(ドラッグ・デリバリーシステム)を応用した経皮吸収に関する研究開発などに力を入れて取り組んでいる。すでに、シルク繊維に含まれる繊維状のタンパク質を高分子の状態で、水溶液中に安定的に溶解した機能性美容添加剤「シルクフィブロイン水溶液」を開発(特許出願済み)し、化粧品原料への活用や化粧品開発に応用するなどの研究開発に取り組んでいる。2014年3月期の研究開発総額は、2億5400万円となっている。

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