化粧品の消費構造変化とグローバル市場【2】実需に陰り、通販特化の中小企業に市場撤退の厳しい洗礼

2014.09.12

特集

編集部

化粧品市場は、幅広いスソノを形成し、消費財の代表として確個たる位置を占める。化粧品の原料・素材メーカーをはじめ、化粧品の製造・販売、OEM・ODM、通信販売、理美容・エステサロンなど様々な業種業態の事業者が参入し、自社の店舗、ネット通販の手法を駆使して消費者に販売している。しかし、市場規模がピーク時に比べて1000億円縮小する中で、約3000社にのぼると見られる事業者が参入して過当競争を展開、パイの奪い合いを演じている。

現在、業種業態別に見た化粧品分野の参入企業は、川上に位置する化粧品原料メーカーが約135社、化粧品メーカー1055社、OEM・ODMメーカー95社など1285社にのぼる。これらの企業数は、懇談会の名称で会員企業が集う0EM・0DMメーカーを除いて法人格(社団)の業界団体に属する企業で占める。これらの参入企業に加えて約15の業界団体が乱立する理美容・エステ事業者やネット専門通販、美容整形、健康補助食品、医薬品、薬局・薬剤などを含めると約3000社が化粧品市場に参入していると見られる。経済産業省も化粧品分野に参入した全体の企業数や実態を把握しきれていない。

化粧品は、メーカーから消費者に販売されるまでの流通過程によって化粧品メーカーが自社系列の販社や系列店に卸して顧客への対面販売を主体とした制度品をはじめ、メーカーが問屋や代理店を通じて小売店に卸す流通形態の一般品、メ―カー代理店の訪問販売担当者が各家庭に赴いて化粧品を販売する訪問販売品、ネットで注文販売する通信販売品、美容室やエステサロン向けの業務用品に分類され、日本独自の流通形態による商慣習で成長してきた。すでに化粧品市場の約5割を大手化粧品メーカー5社が独占するなど寡占状態にある。

表1

しかし、ここへきてこの古い慣習は、インターネットの登場で色あせ、事実上、無実化している。
ネットによる化粧品の通信販売は、多店舗展開による出店や対面販売などに比べて事業を立ち上げるイニシャルコストやランニングコストが安く済む。自前のプライベートブランド(PB)を商品化し、ネット上に通販サイトを構築して会員を募り会員に対して注文販売することで、流通コスト、人件費も抑えられる。大手化粧品メーカーですら自前のサイトを開設してネット通販に打って出るなど大きな変貌を遂げている。
こうした時空を超えるネット革命は、旧来の化粧品の流通形態、商慣習を大きく変えた。ここにネット通販による化粧品分野への新規参入を安易に促す最大の要因がある。

とはいえ、人口減少、超高齢化社会に伴い化粧品の消費構造が大きく変化し、成長が鈍化するなど化粧品の国内需要に陰りが出てきた。
大手・中小の化粧品事業者や流通形態、ネット販売を問わず実需が伴わない。肝心の新規会員(顧客)が集まらず既存の会員をいかに繋ぎ止めるかに悪戦苦闘しているケースがいたるところで見られる。

こうした状況を打破するため化粧品各社は、既存会員へのサービス向上策として肌診断による対面販売の強化や購入しやすい価格帯設定による新製品の投入、店舗のリニュアールなどによって、既存顧客の囲い込みや新規顧客に繋げる施策を講じている。
だが、実需に盛り上がりが欠く中では、既存顧客をいかに囲い込むか、が精一杯の状態。

実需減の影響は、ここへきて乱売合戦、過当競争に明け暮れる化粧品のネット通販に特化した中小事業者を中心に市場からの撤退を余儀なくさせるなど厳しい洗礼を浴びせている。

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