化粧品OEM・ODM各社の「ユーザーニーズに対応するわが社の事業展開」【16】ハーバーがOEMを強化、今期OEM売上2億8000万円計画(上)

2014.10.22

特集

編集部

化粧品の「無添加主義」を経営理念とする株式会社ハーバー研究所(ジャスダック上場:東京都千代田区)は、化粧品のOEM(相手先商標生産)事業に一段と力を入れて取り組む。OEMとOEM 先の自社ブランド(PB)に軸足を置いた営業部門「事業提携部」を中心に業務提携を行って受注を拡大する。同時に、研究所、生産工場との連携を図りながら製版一体のOEM事業を推進することで、ユーザーニーズに敏速に対応する。化粧品の大手メーカーがOEM事業の強化を打ち出し、本格展開に乗り出したのは、珍しいケース。

今度、同社がOEM事業の強化を打ち出した背景には、販売別ルート売り上げで64.7%(2014年3月期)を占める通販チャネルによる販売主導では「先行き新商品の販売にも限界が生じる」ことからOEMを一段と強化することで、収益向上に繋げる狙い。

同社は、これまで法人営業部門でOEMの営業活動を展開してきた。約5年前には、OEM事業をより強化するため営業本部内にOEMと法人業務を専門に担当する事業提携部を設置。同時に、同社の設計・仕様に基づく原料使用や商品開発を行うことを原則とした業務提携を踏まえてOEM受注、PB商品の開発を行ってきた。

現在まで株式会社日テレ7(東京都港区)や株式会社千趣会(大阪府大阪市北区)などと業務提携してPB商品を開発・製造。最近では、大手酒造メーカーや大手電気工事事業者などからもOEM受注した。
「当社の無添加主義と合わせて当社の設計・仕様に基づく原料使用や商品開発を行うことを原則とした業務提携を理解してくれた法人企業と契約を交わしてOEM活動を行っている。ここへきて当社のOEM事業が徐々に、かつ確実に、法人企業に広まってきた」(事業提携部)という。
前期(2014年3月期)のOEM売り上げは、2億5,000万円に上る。ユーザーへの納入価格面で、競争が一段と激しさを増す中で、同社の強みである直営店舗や通販、卸など多チャンネルでの販売力を前面に押し出して受注に繋げる考えで、今期(2015年3月期)のOEM売り上げ2億8,000万円を計画する。

機械OEM受注強化と合わせてOEM生産体制の整備・強化を図った。現在、GMP(品質管理基準)に準拠した北海道・苫小牧工場と千葉・成田工場の2工場を持つ。主力の苫小牧工場に300L容量の真空乳化釜(写真)を新規増設し、生産増強を図った。成田工場は、OEM小ロット対応。いずれも子会社のハーバー株式会社(北海道苫小牧市)が生産を担当している。
粧品のOEM・ODM専業メーカーが大小約300社入り乱れて市場争奪戦を展開する中、ここへきて「製版一貫体制で、本格的に化粧品OEM攻勢をかける」(営業本部)とする同社の事業展開は、極めて注目されるところだ。

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