連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【6】ホソカワミクロン、PLGAナノ粒子・DDS技術開発、化粧品に応用(上)

2014.12.15

特集

編集部

粉体装置・技術のリーディングカンパニー、ホソカワミクロン株式会社(大阪府枚方市)が化粧品分野に参入して今年(2014年)10月で満10年が経過した。同社が化粧品分野に参入する契機となったのが生体適合性高分子ナノコンポジット粒子を応用した薬物伝達システム(DDS)の開発。

同技術は、2001年度から2004年度までの約4年間、NEDOの基盤技術研究促進事業に認定(開発委託)され開発したもの。技術的特性として生体適合性高分子PLGA(乳酸とグリコール酸共重合体)の粒子の大きさを平均200ナノメートル(nm)に微細化し、微細化した粒子の中に有効成分を封入(ナノコンポジット化)して角質層内へ搬送することで、有効成分を皮膚の表皮から真皮まで効率よく浸透させることを実現した。

PLGAナノ粒子の製造法は、PLGAと有用成分を有機溶媒で溶解し、溶解液を水へ滴下すると液、液界面で両溶媒の相互拡散に伴ってゆらぎが生じPLGAのナノエマルジョンが連続的に形成(自己乳化作用)される。このエマルジョン中の良溶媒が水に拡散してPLGAが沈積し、ナノ粒子として固化。水分中の有機溶剤を乾燥させると有用成分が封入された直径50nm~350 nm程度に揃った球形状のPLGAナノ粒子が得られる。

PLGAナノ粒子の特徴は、PLGAが乳酸とグリコール酸がエステル結合によって共重合した構造を成し、エステル結合部位は、水との共存下で容易に加水分解するため、分解を利用して内包した有用成分を除放化できる。同時に、PLGAナノ粒子は、水分や酵素などによって乳酸とグリコール酸に分解され、さらに水と炭酸ガスへ分解されて体外へ排出されるため、体内に残留しない安全な基材である。また、PLGAナノ粒子の機能性としてPLGAの分子量や乳酸とグリコール酸の重合度を変えることで、PLGAナノ粒子からの有用成分の溶出や除放が制御できる。特に、PLGAナノ粒子の最も大きな特徴としてヒト皮膚への浸透性が高いことが上げられる。ヒト摘出皮膚片に対する蛍光標識タマリンを使った皮膚浸透性試験(図)では、角質層全域に浸透していることが県立広島大学の研究チームで実証されている。

エビデンス_01

同社がPLGAナノ粒子関連の技術開発に伴って2002年から2012年までに特許出願した件数は25件。このうち権利化された特許は、薬物含有複合粒子の製造方法など16件、審査中が4件などとなっている。PLGAナノ粒子技術は、同社が化粧品分野に参入する原動力になった基盤技術でありスキンケアや育毛剤などへも応用されて機能性化粧品として市場に投入している。

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ホソカワミクロン株式会社

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