連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【6】ホソカワミクロン、辻本広行マテリアル事業部長にOEM 事業を聞く(下)

2014.12.17

特集

編集部

辻本事業部長3ホソカワミクロンの化粧品事業は、マテリアル事業部が司令塔となり化粧品原料やスキンケア、育毛剤の販売、製薬・美容科学研究センターでの薬物の製剤設計などの受託研究とOEM 事業を行う体制を敷く。その中で、子会社ホソカワミクロン化粧品のスキンケアと育毛剤合わせた売上高は現在、約6億円程度。これを中期的に3倍増の18億円程度に持っていく。また、製薬・美容科学研究センターで取り組んでいる化粧品OEM 事業も関心が高い。同センターで取り組む化粧品OEM 事業を拡大するため、法人向け販促ツールとして2012年3月に「プルガンス オールインワンジェル」(ジェル状美容液)および「プルガンスプレストパウダー」(粉状美容液)を開発し、同年4月から販促活動を開始している。そこで、執行役員辻本広行マテリアル事業部長兼ホソカワミクロン化粧品社長(写真)にOEM 事業の実態と今後の展開について聞いた。

―まずOEM進出の理由と狙いから伺いたい

「ホソカワミクロングループは、粉体処理装置の世界的リーディングカンパニーとして業界を代表する企業として存在し続けており、機械販売のビジネスモデルにおいては、世界ナンバーワンを自負する。しかし、機械販売のビジネスモデルでは、容易に外見をコピーできるため、性能に差はあるものの非常に安価な後発製品が作られてしまうケースが増加する傾向にある。こういったビジネスモデルを回避し、他社に真似されず付加価値の高い製品を提供する新しいビジネスモデルの構築のために取り組んだのが粉体加工技術を応用したPLGAナノ粒子のマテリアルビジネスである。その対象市場のひとつが化粧品、育毛剤であり、その他にも現在までに、医薬製剤(経口製剤、経皮製剤、吸入製剤、注射製剤)、医療デバイス(バルーンカテーテル、ステント、臓器接着シート)などで展開を進めている。これらの展開においては、化粧品・育毛剤の自社ブランド商品の展開を基本とするが、特に化粧品分野では、産業ビジネス を主としてきた当社が不得意なコンシューマ分野でブランド力や商流を持つ顧客へのOEM による商品提供は、PLGA事業規模の拡大や事業リスクの低減、費用対効果からも重要と判断してOEM分野に進出した」

―他社にないOEM事業の強みは何ですか

「当社独自のPLGA を用いたナノ粒子技術・材料は、市場のニーズを反映したものである。具体的な強みとして①本当に効果のある化粧品(美白、アトピー、アンチエージング、ニキビ等)・育毛剤であること②特許切れ製薬のLCM(ライフ・サイクル・マネジメント)戦略としての薬物搬送システム(DDS)における有用な材料であること③新薬創成のためのDDS技術④次世代創薬(核酸)の実用化のためのDDS技術などに的確に応えうるものであることが何よりの強みといえます。特に、当社独自の製法(特許多数)に基づくナノテク粒子であり、化粧品分野では当社以外に量産販売は困難な材料である。本粒子の特長としては、経皮浸透性、持続性に優れ、体内で水と炭酸ガスに分解される安全性の極めて高い素材であり、豊富な医療データ、学術機関との長期にわたるDDS技術研究成果(論文、学会データ、学術賞など多数)に基づく各種機能性の提案・創出が可能な点にある。そのため、安全で効く化粧品作りに貢献できる技術であり長年にわたる皮膚科医への納入実績もこれらを実証していると言える」

―OEMの強みをどのように発揮して受注拡大につなげていますか

「独自材料の機能性を訴求する化粧品技術者向けの営業活動を強化。同時に、化粧品技術者が多く来場する展示会などを通じて拡販を図っている。これまで時間を要したが現在、受注は拡大基調にある」

―OEM営業のターゲット先は

「通販、訪問販売、店舗販売、理美容・エステなど販売チャネルごとにメジャーパートナーをターゲットとし、その創出する活動を実施中である。また、大手・中堅化粧品会社向けPLGAナノ粒子(バルク)の販売や化粧品企画系会社向け完成品のOEM販売などを基本に取り組んでいる。OEM 売上目標は、非公開です」

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