連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【9】江崎グリコ、スキンケア化粧品ジージー通販市場に投入(下)

2015.01.15

特集

編集部

江崎グリコが化粧品原料「アルブチン」や保湿成分「EAPグリコーゲン」を早い時期に開発したにも関わらず化粧品原料、保湿成分配合のスキンケア化粧品を商品化して市場投入したのは2012年10月になってからのこと。

同社では、化粧品市場への参入が遅れたことについて真意を明らかにしていない。一部では「化粧品原料を先行し化粧品メーカーとしての本気度が遅れた」との観測も聞かれるが、真意は定かでない。

グリコのジージー2012年10月に市場投入したスキンケアブランドは「ジージー」(写真)でローションとクリーム2品目を近畿圏の通販市場に投入。2013年9月からは、全国の通販市場にチャネルを拡大して販売している。通販での販売について、同社は「化粧品は顧客が使用法などに関して問い合わせることが多く顧客へのサポートも必要となる。量販店などと違って、通販チャネルは自分たちの目が届く範囲で販売できる利点がある」と通販へのこだわりを説く。

現在、通販チャネルで販売している化粧品アイテム数は、フェイシャルソープを含めて4品目に上る。いずれもα-アルプチンやEAPグリコーゲンに加えて美肌成分、天然保湿成分などを配合している。

ところで、お菓子メーカーの同社が化粧品分野に参入した理由は、安定した収益源の確保があげられる。
同社は、菓子、食品、乳製品、畜産品などさまざまな分野を手掛けているが、菓子や加工食品は、デフレのあおりで低価格競争にさらされている。収益源のアイスクリームも四季を通じて平準化した売り上げを上げるのが難しい。

その点、化粧品は季節変動に左右されることなく、年間通じて販売できるほか乱売による価格変動も少ない。
同社にとって、今や化粧品は欠かせない商材になっている。しかし、問題は、化粧品事業を育成しながら継続的な収益の安定性が求められる。その意味で、化粧品事業についての売り上げ計画や新製品投入、海外展開計画など化粧品に賭ける強いメッセージや戦略が伝わってこない。

化粧品に関わる具体的な戦略や今後の事業展開に関わる積極的な情報発信、情報開示が羨望される。

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