連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【12】三菱鉛筆、中国、韓国でもOEM提案営業を強化(下)

2015.02.4

特集

編集部

現在、同社の化粧品事業に関わる社内体制は、筆記具の機構設計を応用したペンタイプの化粧容器の開発やインク製造技術を応用して顔料を超微細化し、分散させることでペンタイプの容器に対応した低粘度の化粧液開発(レオロジー技術)などを研究開発センターが担当。また、研究開発センターと化粧品事業室が連携してユーザーニーズに対応した商品開発を行っている。製造と営業は、子会社のユニコスモが担当する布陣となっている。

ユニコスモは、薬事法に基づく化粧品製造販売業許可と化粧品製造業許可を取得し、群馬工場でクリーンルーム製造設備、検査システムを完備。IS09001も取得している。

こうした中で、化粧品のOEM営業は、アイライナーや部分用ファンデーション(コンシーラー)などペンタイプを中心に、容器の機構設計から内容液の充填・製造までを一貫して自社内で行っている強みを前面に押し出しながら主力ユーザーの化粧品メーカーなどに対して提案営業を強化。

国内での提案営業と合わせて中国、韓国に代理店を設置し、現地大手化粧品メーカーになどに対して提案営業を行うなど受注拡大に努めている。

同社は海外でのOEM展開について「これまで仏に代理店を置いて欧米中心にOEM展開を図ってきたが、最近、アジアからの引き合いが急速に高まってきた。中国や韓国の有力な化粧品メーカーなどの展示会に出品して当社の技術、製品の優秀性を訴求し、受注獲得を強化中」としている。

ユニコスモ同社の化粧品OEM事業は、筆記具事業から派生した事業だが、容器の設計から内溶液の開発・製造・充填までの工程を自社で手掛けているため、容器から完成品までユーザーニーズにきめ細かく対応するビジネスモデル(図)に特徴があり、それがまたOEM事業の強さに繋がっている。

すでに三菱鉛筆の化粧品OEM事業の売り上げ規模は、総売上高の約10%に達した。今後「化粧品OEM事業の売り上げ規模を2~3倍に持っていく」とした強い意欲は感じられる。だが、化粧事業をさらに飛躍させていくためには、化粧品事業を会社としてどのように位置づけて強化し、伸長を図っていくのか、化粧品OEM事業の具体的な中期事業戦略が羨望される。

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