連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【15】スクロール、化粧品の事業態勢を再構築、販促費充当も(上)

2015.03.18

特集

編集部

スクロール本社株式会社スクロール(静岡県浜松市、写真)は、カタログ通信販売、電子商取引(EC)によるインターネット通信販売などの総合通信販売事業会社(東証1部)。同社は、1939年に武藤洋裁所として創業。1954年には「通信販売」事業をいち早くスタートさせ、衣料品のカタログ通販事業を中心に事業を展開。創業70年を迎えた2009年にムトウから現社名に変えて今日に至っている。

現在の主な事業は、カタログやインターネットを媒体とする通信販売事業で、個人の顧客を対象とした「インターネット・カタログ販売」と生協及び生協組合員を対象とした「生協組合員向け販売」を行っている。商材別に事業区分(セグメント別)した場合、通販アパレル事業、通販インナー事業、通販LF事業(生活雑貨)、通販H&B事業(化粧品、健康器具)の4事業を展開する。

同社ドメインの通販サイト数は、スクロールショップや豆腐の盛田屋など9サイトで、すべてモバイルにも対応している。また、2015年3月現在の総通販会員数は、約120万人、この内、化粧品などの通販H&B事業会員数は、50万人にのぼる。
業績は、2014年3月期連結売上高682億5,300万円。この内、通販H&Bの売上高は、新商品投入とリニューアル化が奏功して90億円(前期比28.7%増)となっている。2015年3月期連結売上高については、当初の720億円から685億円となる見込み。

同社が通販化粧品分野に本格参入したのは、2010年8月にオリジナル通販コスメブランド「ラプリエール」を通販市場に投入したのが契機。
化粧品市場に参入した理由は「通販でアパレル製品を提供する事業展開の中で、より多くの女性向け商材として新たに化粧品に白羽の矢を当てたのが主因だった」という。
ラブリエールは、肌を健やかに保つコラーゲン、ヒアルロン酸、植物由来保湿エキスを3種類ずつ配合したスキンケア化粧品で、化粧水、乳液など5品目を通販市場に投入し、ネット販売に傾注した。しかし、販売不振に見舞われて短期間で撤退を余儀なくされた。

こうしたことから同社は、化粧品事業をより強固にして飛躍を図るため、2010年3月にイノベートを買収。2013年3月に「豆腐の盛田屋」を買収して2社を傘下(子会社)に収め、通販化粧品事業の態勢を再構築した。

現在、同社の化粧品事業に関わる社内推進態勢は、スクロールの通販H&B統括部を中心に子会社の「イノベート」がナショナルブランドを担当。「豆腐の盛田屋」が一般のコンシューマを中心に担当し、グループ企業が連携して事業に取り組む態勢を組んでいる。
通販H&B統括部は、事業戦略を立案し事業全体を統括。技術開発力にたけるイノベートと豆腐の盛田屋が商品開発、製造・販売に当たる布陣となっている。

同社は、2013年4月にスタートした中期事業計画の中で、化粧品、健康食品の健粧事業について販促費を大幅に投入することを盛り込むなど事業強化を打ち出している。

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株式会社スクロール


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