「我が社の生薬配合化粧品ビジネス」【3】新日本製薬、約20種類の薬用植物を自家栽培(上)

2015.05.20

特集

編集部

新日本製薬は、1992年3月に九州・福岡で家庭用品販売を創業、1994年に健康食品分野に進出。1999年には化粧品分野に参入するなど今年3月で、会社設立満23年を迎えた。顧客の美や健康に呼応してコミュニケーションメッセージ「ワンツーワン ヘルス&ビューティーケア」を掲げながら医薬品、化粧品、健康食品など次々と事業領域を拡大、通販、店舗、卸を通じて拡販している。

また、グローバル化にも対応し、昨年春には、カンボジア・プノンペンに化粧品販売拠点を開設して主力ブランド「ライネ」の販売を開始。同時期に、ミヤンマーで漢方の原料栽培にも乗り出すなど国際化に打って出ている。その漢方原料を巡る国際情勢は、中国の採取規制や輸出規制、価格高騰などを背景に安定供給が焦眉の急となっている。

そうした中、同社は、薬用植物の栽培研究拠点として山口県岩国市本郷町に薬用植物研究所(敷地面積1万5千m2)を開設(2006年)。現在、化粧品、医薬品などの原料として使われている甘草(写真)やムラサキなど約20種類の薬用植物を自家栽培(写真)している。

また、有効成分の多い株や生育の良い株を選抜し、自社オリジナルの品種開発を実施。同時に、自社栽培の品種を識別できるよう遺伝子解析の研究にも取り組んでいる。

i新日本製薬、薬用植物研究所社が最初に栽培を始めた薬用植物は、約300種類ある一般漢方処方の約70%に使用されている「甘草」で、カンゾウの主根および横走茎を採取して乾燥したものが、生薬の甘草(かんぞう)となる。気候や土壌の問題などから国内での栽培は困難視され主に、中国からの輸入に頼ってきた。

同社は、ビニールハウス内に筒を立て、その中に土を詰めて栽培する「ハウス内筒栽培」という独自の方法で、甘草の栽培に成功。さらに、コストと労力を抑えるため、畑にポット苗を置いて栽培する「ストロン抑制栽培」という新しい栽培方法を生み出した。

さらに、地域の耕作放棄地を活用して甘草を栽培するなど全国の自治体との連携も活発。2013年から「全国甘草栽培協議会」を発足。甘草の国内栽培に取り組む自治体と相互連携をはかって、栽培技術など共通課題の解決に取り組んでいる。

甘草の栽培研究で調印を結んだのは、新潟県胎内市や熊本県合志市、青森県新郷村と島根県・宮城県との共同プロジェクトを含めて5自治体。甘草の生産目標は、国内需要の約10%程度を生産し、海外輸入に依存する甘草栽培で先導役を担う考え。

ここへきて薬用植物栽培は、海外にも及んでいる。2014年3月からミャンマーで、薬用植物栽培事業を開始した。ミャンマーでの薬草植物栽培事業は、独法国際協力機構(JICA)の協力準備調査(BOPビジネス連携促進)に採択された。同BOPビジネスは、貧困層の所得向上や地方農村部の雇用創出に貢献するものとして期待が高い。

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