「我が社の生薬配合化粧品ビジネス」【10】佐藤製薬、独自開発の育毛成分に発毛促進効果を実証(中)

2015.06.18

特集

編集部

佐藤製薬は、育毛剤「髪美力」に配合している独自開発の育毛成分、アマゾンハーブの「ペルーバルサム」に発毛促進作用とワカメ胞子由来「メカブエキス」に発毛促進効果があることをスクリーニングや臨床試験などから実証した。

同社は、ペルーからアマゾン、アンデス地域に自生、栽培されている約100種類の薬用植物を取り寄せ自社で、50%エタノール抽出エキスを調整し、発毛促進作用を有する植物エキスのスクリーニングを行った。その結果、マメ科植物の「エストラケ」が毛周期の成長維持因子である産生促進作用を有することを見出した。

エストラケは、頭痛、リュウマチ外傷など幅広い用途に使われている薬用植物だが日本国内での使用経験が少ないことから医薬品添加物として使用前例のある「ペルーブルサム」にエストラケと同様「血管内皮細胞増殖因子」(VEGF=一般的に新たな血管網を形成する因子)に産生促進作用があることを検証した。

935b98a9479e9b08d5062327a7de38a6エストラケの産生促進作用に関わる実験では、VEGF産生促進作用や毛乳頭細胞増殖作用などについて行った。その中で、VEGF産生促進作用の実験では、ヒト頭髪由来の毛母細胞「DPC」を1平方センチ当たり1万セルス播種して培養した後、ペルーブルサムを添加。添加24時間後、細胞からリボ核酸をトータルに抽出するポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)でVEGFmRNAを定量した。その結果、ペルーブルサムは、毛母細胞中のリボ核酸(VEGFmRNA)を増加することが分かった。また、培養上清中のVEGFたんぱく量を免疫学的に測定する「エライザ法」で定量したところペルーブルサムは、たんぱく質レベルでもVEGF産生を促進することが判った(図1)。

こうした試験の結果、ペルーブルサムが毛母細胞中の血管内皮細胞増殖因子の産生を促進し、毛母細胞自身の増殖もうながすこと。さらに、毛母細胞の産生促進を介して毛母細胞の増殖を促進することで、発毛促進作用を示す可能性を示唆するなどの実証を得た。

今後、同社は「ペルーブルサムがどのような機序でDPCのVEGF産生を促進するかを検討し、ペルーブルサムの発毛促進作用の解明をさらに究めて行く」方針。

一方、種種の植物エキスを毛乳頭細胞の血管内皮細胞増殖因子を産生することを目的にスクリーニングで、発毛促進に有用な素材の探索を行った。その中で、約300種類の素材をスクリーニングし細胞増殖試験や血管内皮細胞増殖因子の産生測定などを実施。さらにメカブエキスの生体内(インヴィヴォ=in vivo )での作用を評価する目的で、マウス発毛試験を行った。

その結果、メカブ抽出エキスは、毛乳頭細胞の成長因子再生を増強し、毛乳頭細胞増殖、VEGF産生促進作用などに効果があることを明らかにしている。

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