【連載】再生医療と化粧品開発への応用(1)マンダム、5年後に再生技術で機能性化粧品実用化

2015.08.27

特集

編集部

マンダム、資生堂、アデランス、ロート製薬など化粧品や毛髪剤各社が一斉に再生医療分野になだれ込んでいる。再生医療は、ヒト疾患に対してヒト由来の組織、細胞を移植して自己再生能力により治療する方法。患者自身の細胞を用いる自家細胞移植方法が主流。特に、美容業界各社にとって再生医療による次世代化粧品開発は”ドル箱的存在”の声で一致しており、再生医療による化粧品、毛髪剤の実用化に賭ける期待は大きい。特に、日本発再生医療は、医療や医薬品のみならず化粧品、育毛剤の開発、製法、市場性などに関して従来の常識を根底から覆すイノベーションへと変貌を遂げ優位に事業を展開する可能性が大きいことから引き続き再生医療分野への新規参入が相次ぐ見通し。

マンダムと大阪大は、化粧品への応用を前提とした再生医療技術の共同研究を始めることで合意した。

共同研究の目的は、ヒトの皮膚や組織・器官などの再生医療を化粧品分野に応用し、機能性化粧品を実用化するのが狙い。

幹細胞(iPS細胞)再生医療を化粧品に応用する共同研究は、マンダムが大阪大に「共同研究講座」を設置して契約(契約期間2020年8月)を締結。契約を踏まえて今年6月から大阪大がマンダムより資金と社員を受け入れ、再生医療に用いられる幹細胞(iPS細胞=写真)の関連技術などについて皮膚の再生や生体反応に関する研究を共同で始めた。

これらのヒト皮膚および皮膚付属器官の幹細胞から、組織・器官を再生する技術を確立することで、再生された組織・器官を用いて化粧品分野における機能性評価技術の確立を図る。さらに、再生技術を用いて機能性化粧品および医薬部外品などの有用成分の探索と製品開発への応用に取り組む。

マンダムは、再生医療に用いられる幹細胞関連技術を化粧品研究へ応用するための技術開発をこの5年間でメドをつけ、新製品開発のスピードアップと市場での優位性に繋げる。

資生堂も2018年の実用化を目指してカナダ・レプリセル社と技術提携した細胞培養プロセスを使うなどして毛髪再生医療の臨床研究に取り組んでいる。脱毛症や薄毛に悩む患者の頭皮組織から採取した底部毛根鞘細胞(毛髪の成長に重要な役割をする毛乳頭細胞の元になる)を培養した後、脱毛部位に移植、脱毛部位の損傷した毛包を再活性化させて脱毛部位の健康な毛髪の成長を促す「自家細胞移植技術」。
具体的な移植方法(概要)は ①脱毛患者の後頭部(有毛部)から約20個の毛包を含む頭皮(直径5㎜前後の円形)を切除する ②特定の細胞だけを取り出し、レプリセル社が開発した細胞培養プロセスで培養した後、患者の脱毛部位に注入(自家細胞移植)し、脱毛部位における健康な頭髪の成長を促進し、脱毛や薄毛を改善する。

同社ライフサイエンス研究センターを中心に毛髪再生技術に取り組んでおり3年後の2018年にも実用化する方針。

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株式会社マンダム

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