【連載】再生医療と化粧品開発への応用(2)ロート製薬、9月に再生医療応用の新化粧品「エピステーム」販売

2015.08.31

特集

編集部

iPS幹細胞に代表される幹細胞は、自己複製能と様々な細胞に分化する能力を持つ特殊な細胞だ。高い増殖能を持ち必要に応じて細胞や組織の再生を担う。また、様々な組織の中に存在することが知られており、中でも脂肪の中にある幹細胞を「脂肪由来幹細胞」と呼ぶ。間葉系幹細胞とは、間葉系に属する細胞(骨や軟骨、脂肪など)への分化能を持つ細胞で、修復部位に遊走し、そこで組織修復等を行う事が知られている。

脂肪由来間葉系幹細胞を用いた再生治療が世界中で急速に広がる中、ロート製薬は「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマに掲げて研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」でコラーゲンを生成する能力があると知られている脂肪由来間葉系幹細胞の皮膚での働きについて研究に取り組み成果を生み出している。

これまでの研究では、脂肪組織から培養・増幅される間葉系幹細胞が組織再生のために修復部位に遊走する働きを促進する素材として「カプロオイルペプチド」、「コラーゲン」など3種類の素材を発見。これら3種類の素材を組み合わせた「ステムSコンプレックス」が幹細胞自体の増殖を促進しより、コラーゲン生成などの効果が得られるなど加齢で弱ったコラーゲン線維の増強につながることを明らかにした。

グラフィックス1脂肪由来間葉系幹細胞のコラーゲン線維形成についての試験では、線維芽細胞および脂肪由来間葉系幹細胞を4週間線維形成条件にて培養し、コラーゲン線維を免疫染色法により染色して確認した。また、脂肪由来間葉系幹細胞の増殖を促進させる試験では、脂肪由来間葉系幹細胞にステムSコンプレックスを添加し、72時間培養後、細胞数を測定したところ脂肪由来間葉系幹細胞の増殖を促進することで、よりコラーゲンの生成が増強されたことが判明した(データ図参照)。

ロート製薬「エピステ―ム」同社は、再生医療研究での過程から得られた知見を応用したエイジングケアブランド「エピステーム」から史上最高峰と謳う再生医療知見の新スキンケアライン「エピステ―ム」(写真)を2015年9月1日に市場投入し、販売を始める。

今回の「エピステ―ム」は、ハリ肌を追求した化粧水、乳液の2品。伊勢丹新宿店、東武池袋店、髙島屋横浜店、髙島屋大阪店、髙島屋京都店、阪急うめだ本店、大丸福岡天神店、ロートビューティーヘルススキンケアサロンの全国8店舗で販売する。

同社は現在、脂肪由来間葉系幹細胞のさらなる働きを研究するとともに「ステムSコンプレックス」のアンチエイジング化粧品への応用開発をさらに強化する。

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ロート製薬株式会社

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