【連載】幹細胞化粧品開発元年【1】幹細胞研究を化粧品開発に応用

2015.09.10

特集

編集部

幹細胞コスメ化粧品各社が人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)など再生医療に代表される皮膚幹細胞(写真)を化粧品開発などに応用する研究に相次いで取り組んでいる。すでに皮膚幹細胞の働きを高めるなどの幹細胞化粧品を開発し、市場に投入する化粧品メーカーも現れるなど”幹細胞化粧品開発元年”の様相を呈している。また、整形外科病院や美容整形クリニックでは、皮膚、脂肪、毛髪領域で細胞療法などの再生医療を採り入れたアンチエイジング美容医療の取り組みも活発化している。そこで化粧品各社の幹細胞の研究と幹細胞化粧の開発に迫った。

iPS細胞に代表される幹細胞は、日本発の再生医療として世界をリードする中軸技術として躍り出ている。このiPS細胞による再生医療について政府は薬事法を改正(2013年5月)し、自由診療も含め届け出制とした。iPS細胞の安全性を確保した上で製品や医療機器の承認手続きを簡略化し、早期の実用化を推進することで、国際競争力をつけて日本経済の活性化に繋げる狙い。

以来、iPS細胞の再生医療が急速に進展。ここへきて化粧品領域でも幹細胞の研究や化粧品への応用開発が急速に進んでいる。

幹細胞は、再生医療において治療のもとになる重要な細胞。役割がすでに決まっている体細胞と異なりこれからいろいろな臓器の細胞などに分化する能力や分裂を繰り返して増殖する能力を持つ細胞といえる。

幹細胞は、身体のあらゆる細胞になる能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)とある一定の領域の細胞になる体性幹細胞(組織幹細胞)とがある。

化粧品メーカーが再生医療に使われるiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などの幹細胞関連の研究に乗り出すのは、有用成分の探索と化粧品の応用開発が目的。

各メーカーによって研究の内容に若干の差異があるが共通の目標としてヒトの皮膚および皮膚の付属器官由来の幹細胞を用いて皮膚組織などの再生技術を確立させ、化粧品での機能性評価法の構築や次世代型の機能性化粧品、医薬部外品の開発を目指すことを掲げている。

2006年に世界に先駆けて日本で誕生したiPS細胞は、再生医療、新薬開発の切り札としての期待が高く新市場創出に向けて力強く歩み出している。

そうした中で、化粧品メーカーのiPS細胞応用の新機能性化粧品開発も今後、一段と顕著になるものとみられ”幹細胞化粧品開発元年”の到来をさらに色濃くしよう。

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