【連載】幹細胞化粧品開発元年【6】ロート製薬、脂肪由来幹細胞がコラーゲン線維形成を確認(上)

2015.09.29

特集

編集部

ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、再生医療の事業化を見据えた幹細胞研究を進める中でコラーゲンを生成する能力がある脂肪由来間葉系幹細胞の皮膚での働きについて研究してきた。

社内に皮膚科学研究室を設立(1995年)したのを皮切りに本格的な皮膚・肌再生研究に着手。2006年には、再生美容研究室を新設し、皮膚における幹細胞研究をスタートさせた。

さまざまなタンパク質、酵素、成長因子などを作り出す脂肪幹細胞を皮膚に応用することで、皮膚そのものをつくり変える未来型のエイジングケア化粧品開発を目指すもの。

そこには、脂肪幹細胞の大きな可能性に着目し、従来のアプローチとは全く次元の違うスキンケア開発の挑戦が背景にある。

同社が皮膚・肌再生研究で注目したのは線維芽細胞の働き。線維芽細胞は、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などのタンパク質を生成する美肌の生命線ともいえる細胞。中でもコラーゲン線維は、真皮層で線維芽細胞から生成され肌のハリ・弾力を生み出す。しかし、加齢とともに機能が低下するとコラーゲンが減少し、肌老化を加速させてしまう。

このため、同社は、再生美容や機能性素材の探索をテーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において線維芽細胞の真下にある皮下組織に存在する間葉系の細胞「脂肪幹細胞」に着目し、皮膚での働きについて線維芽細胞と脂肪幹細胞のコラーゲンの産生能力を比較した。

その結果、脂肪幹細胞のコラーゲンの産生能力は、線維芽細胞と同等であることを確認(データ図)。さらに、脂肪幹細胞が出すコラーゲンも線維芽細胞と同じように線維状になることを実験で明らかにした。

実験での試験方法は、線維芽細胞および脂肪由来間葉系幹細胞を4週間、線維形成条件で培養し、コラーゲン線維を免疫染色法により染色して実証した。

ロート製薬、脂肪幹細胞と線維芽細胞のコラーゲン産生力

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