【連載】幹細胞化粧品開発元年【9】アデランス、毛髪再生治療法「ジガミ」米国で臨床試験(上)

2015.10.15

特集

編集部

アデランスは、毛髪細胞を培養して毛髪成長の元になる毛包に成長因子を注入(移植)することで、毛髪力を再生させる毛髪再生治療法「ジガミ」(JIGAMI)を開発し、臨床試験に入っている。

現在、ジガミの開発とジガミの臨床試験は、2002年1月に約77億円で買収した米バイオベンチャーのボズレー・メディカル・インスティチュート(BMI)と付属研究機関のアデランス・リサーチ・インスティチュート研究所(ARI、ジョージア州アトランタ)が連携を図って進めている。

皮膚の構造ジガミは、毛包の新生と毛髪の成長に欠かせないヒト細胞の「表皮(毛包)細胞」と「真皮細胞」を取り出してシャレー内で別々に培養し、細胞を増殖させて頭皮に注入することで、毛髪再生を実現する治療技術。皮膚の構造写真を示す。
真皮が誘発因子を発して表皮細胞に働きかけシグナルを受けた表皮細胞が毛包を作り出すという治験に基づく。

ARIで2005年にジガミコンセプトを打ち出し、有望視されている細胞生成物の探索をスタート。2008年からジガミの基本技術を開発して二重盲検法による臨床試験を始めた。2012年初頭には、臨床試験フェーズ2を完了し、約200にのぼる臨床試験を行った。

ジガミの臨床試験では「過半数のヒトの毛髪が増加し、治療後12ヵ月の段階で、毛髪効果が見られた人の太い毛髪が80パーセント増加していることが確認された」という。現在は、ジガミの効能を評価する臨床試験を全米各地で約350以上行うなど臨床試験もフェーズ3の最終段階にあると見られる。

アデランスは、2011年度から2013年度までの3ヵ年中期経営計画の中で、毛髪再生医療事業について2013年2月期に事業全体の戦略を立案し、2014年2月期中に皮膚科や美容整形外科向けに販売する計画を立てた。
しかし、当初の見込みより計画が遅れて現状では、市場での投入がずれ込んでいる状態にある。

同社は、現段階で臨床試験や米食品医薬局への製造・販売承認申請など具体的な内容について「明らかにできない」としているが細胞培養による新たな脱毛治療法の実用化に賭ける期待は大きい。

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