【連載】開花するか遺伝子(DNA)ビジネス(2)DNA検査装置に日米企業なだれ込む

2013.04.1

特集

編集部

DNA検査装置に日米企業なだれ込む

DNA検査法を採り入れて欧米企業との合従連衡で開発、製品化したのが販売価格平均1千万円する高額な遺伝子検査・解析装置である。遺伝子検査・解析装置と一口に言っても、用途や検査対象により多くのシステム装置が存在する。
主なシステム装置として①表面加工した磁性体粒子にDNAを吸着させて抽出する核酸抽出装置②遺伝子の発現検出・解析を行う「DNAマイクロアレイ装置」(DNAチップ)③DNAだけを増幅させる核酸増幅装置④DNAの断片を複製する「サーマルサイクラ―装置」⑤DNA型判定のDNA解析装置(シーケンサ―)などがある。

この検査装置の中でサーマルサイクラ―は、国際標準規格で、全世界の法科学研究所に標準配備されている。サーマルサイクラ―以外の分析機でDNA型を鑑定した場合、鑑定書は無効となる。こうした多種多様な遺伝子検査システム装置分野に受託検査サ―ビスを含めて多くの国内外企業がなだれ込み現在、富士写真フイルムや凸版印刷、東芝、新日鉄住金など電機、IT、バイオ企業を中心に約八十社が参入。商戦も白熱化している。

米国勢がDNA検査市場を席捲

特に、多種多様な検査装置の中でビジネスを牽引しているのがDNAの型判定や遺伝情報(ゲノム)を解析するDNA解析装置「シーケンサ―」とマイクロアレイ。現在、シーケンサ―は、DNAの型判定を行う第一世代からヒトゲノム解析用途の第二世代が市場の中心。
ロシュやイルミナ、アプライドバイオシステム、キアゲン、ダイアグノスディックスなどが一日でヒトゲノムを解析できるデスクトップ型シ―ケンサ―を市場に投入するなど圧倒的に米国勢が市場を席巻している。現在では、ゲノムの塩基配列の解析に加えてリボ核酸(RNA)やDNAとタンパク質の相互作用などを検出できる第三世代型や遺伝子を読み取り相互に調節し合う転写ネットワーク機能を持たせた第四世代型シ―ケンサ―など次世代型に市場が移りつつあり開発競争も激しさを増している。

日本勢の中で、ライフテクノロジージャパンは、半導体センサーチップ上に水素イオンセンサーを集積して解析反応を蛍光標識で検出する「PGMシーケンサ―」(商品名)を実用化、この一年間で2百台程度の販売実績を上げた。第二世代シ―ケンサ―をアプライドバイオシステム社と共同開発した日立ハイテクノロジーズは「これまで培ってきた流体制御や電子顕微鏡の技術を生かして製品開発したもので他社との差別化を図っている」(根本敏夫執行役員)と強調、全世界で販売を始めた。
バイオで世界有数の総合企業にのし上がったタカラバイオは、ゲノム受託解析サービスメニューに新たにシーケンサ―(イルミナ社とロシュ社製)を使って塩基配列の変異などを解析する受託解析サ―ビスに乗り出した。「受託価格は解析対象によって違いがある。がん遺伝用四十六種(八検体単位)を対象とした受託解析サービスの場合で六十四万円。年間五千万円の売り上げを見込んでいる」(営業部)という。 現在、同社の受託解析事業の総売上高は約二十一億円にのぼる。

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