【連載】化粧品各社のイノベーション研究【7】アジュバンコスメ② ~MAPシステでサロン経営支援、研究開発の変革も~

2016.01.6

特集

編集部

株式会社アジュバンコスメジャパンにとって最大の顧客は、美容・理容・エステ等のサロンである。独自に構築したA・C・Sサロン(写真)に対してサロン経営の支援策として講じたのが、「MAPシステム」と名付けたクラウド型サロン経営サポートシステムの導入促進である。
同システムは、サロンの収益向上などサロンの経営を把握する狙いでエクシードシステム株式会社(岡山県岡山市)と提携して開発した経営管理システム。
主な機能は
①顧客管理機能(予約受付、顧客管理、スタッフ分析など)
②ウエブ機能(ウエブ予約、メール配信、ショッピングサイト)
③経営分析機能(売上・在庫管理、経営分析、勤怠管理等)など。
A・C・Sサロンが同システムを導入する場合の基本料金は、サーバー保守管理費9800円(税抜き)がかかるものの、ソフト代は無料。

同社は、2010年6月から営業担当者がサロン営業を行う中でMAPシステムの紹介営業に乗り出した。詳細な説明が必要な場合は専任の営業部隊がサロンを訪問し、それを踏まえて契約を推進する体制を採ってきた。2015年3月期末のMAPシステ契約件数は、前期比44件増の250件となっている。また、2014年4月には、美容室に特化した販売促進コンサルティング会社の株式会社ケイアートファクトリー(大阪府東大阪市)と資本業務提携を交わた。第一ステップとしてケイアートファクトリーの既存顧客約2200サロンに対して、アジュバンコスメジャパン製の化粧品やMAPシステム等を販売。同時に、ケイアートファクトリーは、アジュバンコスメジャパンの社員に対してコンサルティングノウハウ教育を実施するなど、相互に相乗効果を発揮している。今後、ケイアートファクトリーは、アジュバンコスメジャパンの約7000 店近いA・C・S 登録サロンに対して販売促進コンサルティングの推奨を図って行く計画。

研究所同社は、2015年10月に東京・品川に研究所(写真)をオープンし、新たな研究開発のイノベーションに取り組む。研究所開設の目的は、化粧品処方の開発と原料仕入れによるコストダウンを図るのが狙い。
現在、同社は、商品の生産を外部に委託するファブレス企業。生産を委託する外部企業に支払う製造原価の中には、直接の製造費用に加えて製品の企画・処方に関する費用も含まれている。処方を自社開発すれば、委託先への処方支払額はその分、削減できる。研究所開設の狙いもここにあった。同社では「処方開発によって売り上げに占める原価率が2~3%程度削減できる」と期待する。
今期(2016年3月期)は、ヘアケア製品の処方開発に注力。将来は、スキンケア商品にも処方開発の対象を拡大する方針。

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