【連載】開花するか遺伝子(DNA)ビジネス(5)心筋細胞販売、毒性評価サービスに乗り出す

2013.04.4

特集

編集部

心筋細胞販売、毒性評価サービスに乗り出す

ノーベル賞医学・生理学受賞の山中伸弥京大教授が発明した皮膚細胞から臓器を作り再生医療に道を開く万能細胞(iPS細胞=人工多能性幹細胞)の作製技術を基盤としたヒトiPS細胞作製の解析・培養装置やiPS試薬の販売、iPS細胞作製の受託試験サ―ビスに乗り出す企業がなだれ込んできた。iPS細胞のビジネス拡大を見越してこれまで総合バイオ企業として君臨するタカラバイオやテルモ、和光純薬工業、ニプロ、コスモバイオ、カイノスなど医療用検査機器、バイオ企業など主要20社が参入した。
この中でタカラバイオと大学発ベンチャーのリプロセル(京大、東大共同設立)の2社は、iPS細胞の知的財産管理を行うIPSアカデミアジャパンとライセンス契約を結び製薬企業や研究機関などに試薬の販売(価格15万7500円)やiPS作製の心筋細胞の販売、毒性評価試験の受託サービスに乗り出している。また、バイオベンチャーのフイルジェンとディナベック(協和キリン、久光製薬など4社出資)は、iPS細胞作製キットを国内外で販売を始めた。
日本が威信を賭けるiPS細胞は、再生医療に道を開く技術として今後、iPS細胞作製用の培養・解析装置の開発やiPS細胞試料、iPS細胞作製の受託試験サービスなどに参入する企業がさらに増加するのは必至で、世界規模で新たな大型市場を彷彿させる動きが一段と鮮明になってこよう。

 ダウン症など染色体異常を検査

一方、ここへきて染色体の検査で胎児のダウン症を判別する出生前診断が始まった。妊婦の血液を採取し、染色体を超音波検査機で判断する。同時に、ダウン症の特徴点の一つである胎児の首のむくみなどを診察して出生診断の判定を行う。
従来、妊婦のお腹に針を刺して羊水検査する方法に比べて妊婦と胎児を傷つけないので安全性は高い。
国立大附属病院を中心に医師とカウンセラーを配置して遺伝子の検査による出生前診断が一斉に始まった。
ダウン症は、染色体の分裂や受精卵の発育初期の分裂以上が原因とされるが異常分裂の原因が特定できていない。厚生省の調査では、現在、ダウン症の患者数は、5万人にのぼり、1千人の出生率当たり1人の割合でダウン症の赤ちゃんが誕生している状況。

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