【連載】化粧品各社のイノベーション研究【17】マンダム③ ~外売上比率41%に、インドネシア法人が海外事業牽引~

2016.03.31

特集

編集部

マンダムは、技術提携会社をフィリピンに設立(1958年)したのを皮切りに海外事業をスタート。以降、現在までに韓国、インド、台湾、シンガポール、ブラジル、メキシコなどの新興工業経済地域(NIEs)やフィリピン、タイ、マレーシアなどASEAN地域、インドネシア、中国等に11の国と地域に10社の現地法人(連結子会社)を設立するなど時空を超えるグローバルビジネスを展開している。
いずれも、海外事業を成長エンジンに位置づけて、各国の文化、習慣、風土、ライフスタイルに合わせて現地の生活者のニーズやシーズを汲み取った商品開発や所得レベルに合わせた商品サイズを子袋サイズなどにバラエティ化を図るなどして現地主導によるビジネスを推進している。
2015年3月期総売上高に占める海外の売上比率は41.3%(2015年3月期)に達しており、代表的な男性化粧品ブランド「ギャツビー」を世界ブランドとして確立しながら引き続き海外事業を強化・加速していく方針。

こうしたグローバル事業展開の中で、特に成長著しいのが化粧品を製造・販売するインドネシア現地法人「マンダム・インドネシア」(連結対象、設立1969年)で、その躍進ぶりが異彩を放つ。
インドネシア法人は、法人設立28年後の1997年にジャカルタ証券取引所に上場。西ジャワ州ブカシ県に新工場を建設・竣工(2015年6月)した。東南アジアのハブ拠点として、ギャツビーと女性スキンケアを中心に業績を伸ばしている。
無題インドネシア国内での販売チャネルは、各地域に昔から根付いている小規模雑貨店「サリサリストア」での「トラディショナルトレード」とそれ以外の小売りチェーン店などを通じた「モダントレード」の2つのチャネルを活用して販売(写真)。ここ数年は、コアな顧客層となる10代の若年層を取り込むため、ワンコイン(5ペソ)で買える「サチェット」と称する1回使いきりの小袋入りワックスのサリサリストア(トラディショナルトレード)での展開を推進している。
同法人の2015年1~12月の1年間の売上高は、2兆3082億ルピア、円換算で212億円(1ルピア0.0092円レート換算)にのぼる。2015年7月にブカシ県の生産工場でエアゾール生産ラインがガス爆発を起こし、工場が焼失するなど大きな痛手を被った。
同社は、現在、取り組んでいる第11次中期計画で、成長エンジンの海外事業の継続強化を図っており、「主力のインドネシアに加えて中国、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオスなどインドシナでの流通網の整備・構築に取り組んでいる。中長期的に国内と海外の売上比率を50対50に持って行く計画」としている。

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