【連載】化粧品各社のイノベーション研究【17】マンダム④ ~CSRとダイバーシティ活動を推進~

2016.04.1

特集

編集部

マンダムは、専門部隊のCSR推進部とダイバーシティ推進室を設置して、企業の社会貢献活動「CSR」(Corporate Social Responsibility)や女性の活躍、グローバル人材の育成などを図るダイバーシティ(多様性)活動に取り組んでいる。環境・社会貢献で企業を評価・判断する「ESG投資」(Environment:環境  Social:社会 Governance:企業統治)が広がる中で、同社のCSR、ダイバーシティ活動が注目される。

2つの専門部隊は、昨年4月に設置したもの。CSR推進は、社長執行役員を委員長として構成する「CSR推進委員会」の傘下にトータルリスクマネジメント、労働規範、環境推進など5委員会を設置。同推進委員会がグループのCSR推進の具体的な考え方をまとめて5委員会に指示し統括管理を行いながら、CSR推進部が事務局となり運営・推進する体制を敷く。

マンダムグループのCSRの考え方をまとめるにあたりグループの基本理念、経営理念、企業行動指針や特定分野の理念・方針など、社内の価値観・価値基準と二酸化炭素排出量の抑制、製品の環境性能、法令順守、人権の配慮など「国連グローバル・コンパクトの10原則」を参照しながらその上で、14項目のテーマ(製品サービス環境配慮、総エネ推進、生活者の安全衛生と品質のへの責任など)をCSR重要課題として選定し、取り組んでいる。
しかし、CSR重要課題の14項目は「多様で幅広いステークホルダーからの期待や要請を充分に包含できているとはいえない」として、今後、より高いレベルのCSR重要課題を探求するとともに、中長期視点での目標や成果指標の設定など進捗管理(PDCA)体制を構築し、その達成に努めて行く方針。

一方、女性社員の活用を含めて様々な個性あふれる多様な能力の活用や外国籍社員の受け入れ活用など「多様性」、「異質」を尊重する風土づくりに全社を挙げて取り組む姿勢を鮮明に打ち出した。

多様な属性や価値観を持つ人財を確保し、それぞれの能力を最大限発揮できるように変化の速いビジネス環境と多様化する市場に柔軟に対応して、組織の競争力を上げる「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包含)」を目指すもの。
組織におけるダイバーシティとは、さまざまな違いを尊重して受け入れ「違い」を包含しながら企業の優位性を創り上げることがダイバーシティ経営といえる。
経産省は、2014年度から多様な人材が持つ能力を最大限に発揮できる機会を提供し、イノベーションを生み出して価値創造につなげているダイバーシティ企業を表彰する制度を設けている。が、グローバル化が進む化粧品業界において、多国籍女性の活用と登用、雇用制度・雇用形態の整備と充実、労働時間と勤務形態などを導入して、ダイバーシティ経営を実践している企業は今のところ稀な現況にある。そうした中でグローバル人事ビジョンを策定し、海外現地法人に派遣する「海外トレーニング制度」などに取り組む同社のダイバーシティ経営の具体的な推進策と成果が待たれる。

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