【連載】化粧品各社のイノベーション研究【25】ナノキャリア② ~新美容液、スカルプケアなど共同開発・販売へ~

2016.05.25

特集

編集部

ナノキャリアのコア技術であるミセル化ナノ粒子技術は、製薬会社と薬物の皮膚吸収試験を共同研究した際に、薬物が真皮層に蓄積する性質を持ち化粧品に必要な機能であることが判明した。

そこで同社は、皮膚に良いとされる保湿成分のヒノキチオールやビタミンC誘導体、ビタミンEなどをミセルカナノ粒子に内包して、化粧品に高濃度に配合した美容液「エクラフチュールW」(商品名)を開発し通信販売を始めた(2010年10月)。

同社が開発し販売した「エクラフチュールW」をコーセーの子会社「アルビオン」に評価してもらったことを契機に両社は急接近し、2012年7月に化粧品素材の開発と商業化に関する契約を締結した。
無題両社は、主要成分を皮膚に浸透させるため、製剤技術「ドラッグデリバリーシステム」を美容液に応用するなどの開発を推進し、共同開発の美容液「エクラフチュール」(写真)を誕生させた。
エクラフチュールには、細胞内の活性酸素にアプローチするリュウキュウガネブエキスや細胞に栄養を与えるクパスバターなどの素材が含まれている。

ナノキャリアがミセル化ナノ粒子を用いた化粧品原料を供給。アルビオンが化粧品を生産して2013年10月にアルビオンが市場に投入した。

販売はアルビオンの化粧品専門店「MCS」などで対面販売している。この新生「エクラフチュール」の販売を機会にナノキャリアが単独で開発・販売した「エクラフチュールW」は、販売を中止(2013年6月)し、通販から撤退した。現在、エクラフチュールWは、販売していない。

「デプス」この新たに共同開発した化粧品「エクラフチュール」の開発・販売に続いてスカルプケア「デプス」(写真)を開発(シャンプー、トリートメント、ケアエッセンス、トニックエッセンスの4種類)して市場に投入した。

共同開発したヘアケアブランド「デプス」は、ナノキャリアの薬物搬送システム「ドラッグデリバリーシステム」(DDS)にアルビオンの処方技術を融合して開発した。2016年1月から、ネット通販と限定美容室でのカウンセリング販売を行っている。

同社がガンなどの創薬を目的に開発したミセル化ナノ粒子技術、DDS技術は、化粧品開発に応用して商品化を実現するなど化粧品分野に参入する基盤技術となった。

 

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