【連載】化粧品各社のイノベーション研究【26】アジュバンコスメジャパン③ ~ヘアカラー、ヘアケア剤強化、理研などと毛髪の再生技術で共同研究~

2016.06.1

特集

編集部

アジュバンコスメジャパンは「美容業界のイノベーション」というテーマで、長期(30年)ビジョンの実現に向けて現在、5つの重点戦略を基軸に策定した中期経営計画(2015年3月期~2018年3月期)に取り組んでいる。
5つの重点戦略は
①既存顧客(代理店、A・C・Sサロン等)支援体制の強化
②MAPシステムに関わるコンサルティング営業の強化
③業務用商品(カラー剤、パーマ剤)市場への進出
④サロン経営を支援する子会社「イノベーション・アカデミー」の設立
⑤アジア地域をメインとした海外事業の展開など。
この5重点戦略の中で同社は、新規参入した業務用カラー剤とパーマ剤の売り上げ伸長に期待している。

2014年10月に市場投入したヘアカラー剤の売上高は、2015年3月期 3400万円、2016年3月期 1億5000万円、2017年3月期 3億5000万を計画。3ヵ年計画の最終年度である2018年3月期 4億6000万円を目標としている。
また、当初、2016年3月期中に市場に投入するとしていたパーマ剤の開発・販売は、遅延している現状で具体的なアナウンスが聞こえない。また、A・C・Sサロンスタッフ向け研修の実施や各種セミナーへの講師派遣、商品開発マーケティングなど、サロン経営の支援業務を目的に設立(2013年3月)した子会社「イノベーション・アカデミー」を2016年3月にアジュバンコスメジャパン本体に吸収して解散した。

ここへきて研究開発分野でもイノベーションに打って出た。
東京都品川区に研究所を開設したのに続き,2016年2月に理化学研究所及びベンチャー企業「オーガンテクノロジーズ」の両社と共同研究契約を交わした。
共同研究契約を交わした理化学研究所とオーガンテクノロジーズ両社の研究グループは、再生毛包原基移植による毛髪の再生技術および加齢による毛質変化の評価などの基盤技術を確立している。
今度、アジュバンコスメティックが両社の研究グループと共同研究契約を交わしたのは、両グループが保有する再生医療基盤技術を踏まえて
①毛質の加齢に伴う質的変化の科学的な解析
②加齢による毛質変化の改善を促す物質の探索
③毛質の健やかな育成を図る物質の探索などを推進し、ヘアケア剤を中心とする新規機能性化粧品の開発に繋げる狙い。共同研究の期間 は、2018年10月31日まで 。
果たして再生医療を毛髪剤の開発に応用する研究開発がどの程度、進捗するか、引き続き注視される。

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