【連載】化粧品各社のイノベーション研究【29】ゼリア新薬工業③ ~買収8年を経過したイオナの化粧品事業、成長軌道に乗ったか~

2016.06.22

特集

編集部

ゼリア新薬工業が子会社イオナを介して行っている化粧品事業についての業績は、必ずしも明らかになっていない。2008年にゼリア新薬工業はイオナ買収し、化粧品事業に参入した。しかし、8年を経過した現在においても、イオナの業績を含む事業成長の実態が明らかでない。

イオナの業績は、ゼリアのコンシューマーヘルスケア事業に決算期ごとに計上される。同コンシューマーヘルスケア事業は、OTC医薬品、健康食品、化粧品事業など幅広い事業を行う部門。同部門の2016年3月期売上高は、287億4100万円にのぼる。同期の総売上高624億7500万円に占める同部門の売上比率は、約45%を占める。
この中でイオナが展開する化粧品事業がどの程度、占めているか、将来の業績予想を含めて関心があるところである。

現在、ゼリア新薬工業は、平成26年度を起点に平成28年度までの第8次中期3ゕ年経営計画を推進中。中長期の目標とする経営指標は、連結売上高、連結売上高純利益率、連結自己資本比率及び連結自己資本当期純利益率を重視。医療用医薬品部門とコンシューマーヘルスケア事業を「車の両輪」と捉えて、企業基盤を強化する。

ゼリア新薬工業が目指すイオナの将来像は、「生涯若さ継続ナビゲーター」。これまでIONAブランドで培ってきた美容と健康に関するさまざまなデータや研究成果をもとに、グループとしてのシナジーを活用。「どうしたらいつまでも若々しくいられるか」をテーマに科学、美容、心理など様々な視点から探求し、化粧品のみにとどまらず、幅広い製品ラインアップでの事業展開を目指す方針。
だが、イオナの化粧品事業、すなわち、ゼリア新薬工業がイオナに賭ける化粧品事業について、具体的な戦略と事業目標がこの3ヵ年経営計画からも見えてこない。
ゼリア新薬工業がイオナを買収した当時、イオナの事業規模は、約10億円程度にのぼっていた。そのイオナを買収して8年を経過した現在のイオナの化粧品事業が、果たして成長軌道に乗って大きくイノベーションを遂げているのか、逆に、浮沈を繰り返して事業の成長発展が鈍化しているのか、実態と将来性が注目されるところだ。

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